「環境さん(清掃担当)の名前を借りて、助手さん(看護助手)が足りないところを環境さんで補っていた」
「今更隠しても仕方ない」
診療報酬の一部返還で幕引き?
病院の事務責任者の石川洋二氏は、スタッフからの同様の質問にこう答えた。
「(看護師数は)業務の部分でも足りていない。場合によっては保険請求していたものの返還もあり得る」
「そうなれば本部もさすがに対応を考えてくれると思う」
病院関係者によると、3月17日に行われた厚生局の適時調査でも病院は職員数の水増しを認めた。今後は、早期に報酬の一部返還などに対応することで、水増しの全容発覚を免れようとしているという。Bさんはこう話す。
「2017年に行われた前回の適時調査でも、病院は同じように偽った勤務表を用いて看護要員の水増しをしていました。長期にわたって過剰に受け取っていた診療報酬の額が膨大になる可能性もある中で、今回どこまで病院側が不正を認めるか不透明です。今になって、環境さんを病棟担当にさせようとしたりしていますから」
「利益至上」の経営方針
以前からふれあい沼津ホスピタルで常態化していたという看護要員の水増し。取材班は数年前に勤務医として働いていた男性からも話を聞くことができた。
「あそこの病院の経営陣はグループ本部にまったく頭が上がりません。何をするにも本部が、本部が、とお伺いを立てている感じ。常に満床率が100%近い異常な病院でしたが、98%くらいのときに残り2%頑張ろう、と言っているのは頭がおかしいのではないかと思いました。普通だったら9割にもなれば人手の余裕がなくなり、入院受け入れを抑制しようとするものです」
まるで売上目標の必達を至上命令に掲げるモーレツ企業のような有様だが、果たしてその経営方針は、病院という組織にふさわしいものだろうか。
「とにかくふれあいグループは利益至上主義。その目標の裏で人手の足りない現場はかなりしんどそうでした。Xはパワハラ気質があったので、虐待は彼個人の問題もあるとは思いますが、あの病院の看護職の苦労はよくわかります。患者さん各々の日報があるんですが、看護師の欄に看護師ではない人の名前が書かれていることがありましたね。あれも職員の水増しの一環だったのかなとも思います」(同前)