1ページ目から読む
2/4ページ目

 明らかになった患者への暴行のほか、ふれあい沼津ホスピタルには看護要員(看護師や看護助手)数の水増しという、病院運営の根幹を揺るがす不正の疑いがあることが文春オンラインの取材で分かった。

入院基本料を引き上げるために看護職員を水増し

 診療報酬は、看護要員が多いほど点数も高くなる。職員が多いと、患者にとってはきめ細かいサービスを受けられるメリットがあるからだ。そのような制度を悪用して、職員数を水増しして実態よりも多額の診療報酬を得ることは、詐欺にあたる可能性もあり、過去には同様の手口で摘発され、院長など責任者が実刑判決を言い渡されたケースもある。

 文春オンラインが入手した「ふれあい沼津ホスピタル」の2022年1月の4階病棟の勤務表。名前の欄には、当時の病棟担当の看護師や看護助手のみが記載されているはずのものだ。しかし、30人弱の職員のうち、別部署の看護師らが2人、看護とは関係のない清掃担当2人の計4人があたかも4階病棟の看護要員であるかのように記載されているのだ。

ADVERTISEMENT

患者への暴行がったふれあい沼津ホスピタル

「看護助手についてはヘルプに入ってもらったという体裁なのかも知れませんが、実態としてそのようなヘルプはありません。『環境さん』と我々が呼んでいる掃除担当のおばちゃんらは、当然ながら患者さんの看護は一切していません。単純に入院基本料などを引き上げるために、看護職員を水増ししているんです。情けないことに、こういった書類を平気で行政に提出しているのがうちの病院なんです」(同前)

病院幹部が水増しを認めた音声も入手

 同じ2022年1月の勤務表では、5階病棟にも掃除担当者が2人、2階と6階の病棟にもそれぞれ1人ずつの名前が確認できた。病院全体にこの手法は浸透しているということだろう。

 この水増しについて、2023年2月中旬に行われた病院内での研修で病院幹部が認めている音声も入手した。職員からなぜ看護スタッフの勤務表に勤務していない人の名前があるのか問われた際に、病院幹部のひとりである栗原えみ看護部長はこう白状している。

「勤務表も修正できないような形で、包み隠さず今回は県に報告している」