「精神科の病院運営が大変なのは分かりますが、現場に負担がかかると、それがすべて患者さんに向かってしまいます。精神科の患者さんってつらい境遇を生きてきた人が多いんです。入院しているときくらい安らかに過ごして欲しいのに、うちの看護職の人数不足からそれができない現状が辛いです。病院はもっと身の丈に合った数の患者さんを看るか、職員を増やすか早急に対応してもらいたい」(前出・現職職員Aさん)
入院しているときに『この半端もんが』と暴言を吐かれた患者も
昨年8月にふれあい沼津ホスピタルに入院したという元患者の男性はこう話した。
「あの病院はトイレがとんでもなく汚くて、掃除にすら手が行き届いていないと感じましたね。看護師さんも少なかった。入院しているときにXに『この半端もんが』などと暴言を吐かれたことがあります。これにはさすがに我慢ならなくて、病院と県に対して通報したんですが、どちらからもしっかりとした対応はありませんでした。その挙句に動画が流出したXの暴行事件が起こってしまった。私のケースのときに対応できていればこのようなひどい虐待も起きなかったのではないかと思うと残念です」
刑事事件となった虐待疑惑に、看護要員の水増し疑惑。目を覆いたくなる事態は、ふれあい沼津ホスピタルの身から出た錆ではないのか。病院に対して、取材班が質問状を送ると加藤院長名で以下のような回答があった。
――貴院では長年にわたり看護補助者など看護要員数の水増しがされていたと聞いておりますが事実でしょうか。事実であるならば何の目的で水増したのでしょうか。
「そのような内容については聞いておりません」
――清掃担当のスタッフを看護要員であるかのような病棟ごとの出勤表を長年作成し、2017年の適時調査で関係当局にも提出していたと聞きましたが事実でしょうか。
「個々の具体的な勤務表の内容については把握しておりませんが、厚生局への届出は適切に行っているものと認識しております」
この病院には現在も多くの患者が入院している。一刻も早い真相解明と、改善が求められている。