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体重18キロ増量。食べて整腸剤飲んでビタミン摂ってまた食べて…

――クランクインにあたっては体重を18キロも増量されたそうですね。

東出 僕から松本優作監督に「太りたい」と提案しました。のめり込むうちに自然とビジュアルも寄せたくなったので。食べては整腸剤を飲んでビタミンを摂ってまた食べて、をひと月のあいだ繰り返して、体重計に乗っては一喜一憂する毎日でした。

――撮影中、東出さんから監督に対して、演技や台詞について提案するような場面はありましたか?

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東出 壇先生やお姉様からうかがった金子勇像から、「こっちのほうがいいのでは?」と相談することはありました。役者としては生意気な越権行為かもしれないけど、僕にも金子さんのことを考え続けているという自負があったので。松本監督は「正解は東出さんの中にある。自分はそれを撮る」と受け入れてくださいました。

©深野未季/文藝春秋

――東出さんはこれまで比較的、自ら采配を振るうタイプの監督と役者に任せるタイプの監督の両方とお仕事をされてきたと思います。そうした“越権行為”も作品によってケースバイケースで考えていらっしゃるのでしょうか?

東出 そうですね、例えば、昨年、Netflixの「トークサバイバー!」に出させてもらいましたが、ああいうコントの繋ぎみたいな現場であればハッタリで行こうと振り切れます。反対に『Winny』のように事実が基になった作品の場合は、ハッタリだけではもったいないと思うので、出来るだけ自分なりに勉強して臨みます。カメラ前に立った時、少しでも豊かに演じたいので。

――本編中、三浦貴大さんが演じる壇俊光と東出さんが演じる金子勇の間には、ある種の友情のような空気が感じられました。

東出 そこもかなり僕からの意見が反映されています。僕と言うか壇先生でしょうか。僕と三浦さんと壇先生の三人で何度も食事に行きましたし、そこで壇先生と金子さんがどんなやり取りをされていたかも聞かされていたので。

三浦貴大さんはとても器用な役者で羨ましかった

――相方となった三浦さんの演技はいかがでしたか?

東出 本当に器用な方でした。劇中の裁判シーンにあたって模擬裁判に臨んだ時も、三浦さんは壇先生の実演を見ると、次の瞬間、すぐに出来るんです。僕はすごく不器用なので羨ましいですね。もちろん三浦さんもかなり深く壇先生と交流されていたので、そこからの肉付けはあったと思いますが。