国会答弁に備え“想定質問”を外務官僚に作らせていた疑い
そして、〈別添〉されたワードファイルには、次のような文言が列挙されていた。
〈問 2021年5月に政策秘書として採用した小林亞樹氏の勤務実態如何。勤務実態のない政策秘書を雇用しているのではないか。〉
〈問 本来秋本事務所が負担すべき、C氏(編集部註・原文は本名)の給与を、小林氏に肩代わりさせていたのではないか。これは秘書給与法21条の3(寄付の要求)に違反するのではないか。〉
〈問〉の数は24問に及ぶ。秋本氏は2月2日、2月3日、2月9日、2月13日と毎週のように国会で自身の疑惑を追及されていた。それだけに、近く秘書給与法違反疑惑についても問われることを予期したのだろう。つまり、国会答弁に備え、24問もの“想定質問”を外務官僚に作らせていた疑いが強いのだ。実際、2月17日の国会では野党議員から“想定質問”通り、小林氏の勤務実態や秘書給与の肩代わり疑惑などを問う質問が出て、秋本氏は「C氏はB氏(小林氏)が自分の政策秘書業務を補完するために契約した方」などとする答弁を繰り返した。
だが、秘書給与の疑惑は外務省の政策とは全く関係のない秋本氏の政務にかかわる問題だ。にもかかわらず、事務秘書官に“想定質問”を作成させることは適切なのか。
「官僚である事務秘書官は政務に関わらないのが大前提」
元総務官僚で政策コンサルタントの室伏謙一氏はこう指摘する。
「官僚である事務秘書官は政務に関わらないのが大前提。まして外務省の所掌事務と関係の無い政治家個人の問題であるならば、外務官僚を巻きこむのではなく、政策秘書など事務所スタッフで対応するのが筋です」
秘書官経験者も言う。
「森友問題のような行政が関わる疑惑なら別ですが、政務案件に事務秘書官はタッチしないものです」
外務省が省ぐるみで、秋本政務官のスキャンダル対応にあたったのは事実なのか。林芳正外相ならびに外務省にM氏が送付したメールについて見解を尋ねたところ、揃って以下のような回答があった。