先日、福井県池田町が移住者向けに公表した「池田暮らしの七か条」が物議を醸している。池田町は総面積の90%を山地が占める人口2300人ほどの町。区長会の名で出された文面は広報誌に掲載されたほか、池田町の公式サイトにも掲示されている。「七か条」には移住者に求める「心得」が次のように書かれていた。
「プライバシーが無いと感じるお節介があること、また多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください」「都会風を吹かさないよう心掛けてください」「(地域行事の多さを)『面倒だ』『うっとうしい』と思う方は、池田暮らしは難しいです」――。
この“御触書”を目にした人々からは、「こんな場所には住みたくない」という声が多く上がる一方、「田舎暮らしをするならこれぐらい当然」と理解を示す声もあった。取材に対し、池田町は今後文面を修正する予定はないと答えている(産経新聞 2月8日)。
ところで、話題が大きくなる中、こんな声も少なからず見かけた。「これ、『ガンニバル』そのままだ」。
ドラマ『ガンニバル』とは
『ガンニバル』とは、昨年12月28日よりDisney+で独占配信されているオリジナルドラマのこと。『週刊漫画ゴラク』に連載された二宮正明の人気コミックが原作で、柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、中村梅雀、六角精児、倍賞美津子ら、若手からベテランの実力派俳優が出演者として顔を揃える。
ポン・ジュノに師事し、監督作『岬の兄妹』(19年)、『さがす』(22年)がいずれも高い評価を得た片山慎三が監督、『ドライブ・マイ・カー』(21年)の大江崇允が脚本を務めている。公式サイトでは“ヴィレッジ・サイコスリラー”と銘打たれているが、“村八分バイオレンススリラー”とも言い換えられそうな作品だ(以下、ストーリー展開に触れる箇所があります)。
「あんたら人間を喰ってる!」
舞台は岡山県の山奥にある人口300人の小さな架空の集落、供花村(くげむら)。駐在として赴任してきた訳ありの警察官・阿川大悟(柳楽)と妻・有希(吉岡)、幼い娘・ましろ(志水心音)の一家は、穏やかそうな村人たちから歓迎を受ける。