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移住がしやすい地域の条件は?

――前の集落を離れて、現在はどちらにお住まいに?

柳生 高知県の大川村です。お祭りなどイベントが何回かあったので、遊びに行くのも兼ねて2022年の9月あたりから下見をしていました。

 子どもが多いこともあって、保育園も給食費も無償で、無償の学童クラブもあったりと、子育てをめぐる環境がいいことも大きかったですね。

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東京から移住先に向かうときの様子 写真=本人提供

――人口は?

柳生 362人です。

――以前の限界集落が100人以下でしたが、ある程度の人口数も移住のしやすさに繋がりますか。

柳生 人口とパワーはイコールだとは思います。それなりに人口の多い地域に行ったほうが、僕のような経験をすることは少ないんじゃないかと。あと、人口が多くなくても移住者が定住している地域は、移住しやすい条件が揃っている証なので、そういったところで移住するのも無難ですね。

――大川村でも、地域おこし協力隊として活動を?

柳生 完全にフリーでやっていて、YouTubeの収益を頑張って立てていこうと開業届も出しています。

 今度は妻のほうが協力隊の隊員になっているんです。制度的には協力隊を使っていますけど、役場のほうで移住コーディネーターという役職を用意していただいて、移住や空き家に関する業務を役場の上司と連携して取り組んでいます。

 僕がYouTubeをやっていることは大川村の方々も知っていますので、ボンボン動画をアップすると警戒されてしまうかなと。なので、今度は慎重に進めていこうと考えています。妻を通じて、役場の推進課の課長さんや村長さんに許可をいただいて動画をやらせてもらっています。空き家も用意していただいたので、その片付けから再スタートしました。

それでも地方移住をやめなかった理由

――それなりに人口の多い地域に住んだほうがいいとのことですが、地方在住を考えてる人に「これだけは気をつけてほしい」というものがあれば教えてください。

柳生 一番大事なのは礼儀正しさだと思います。挨拶をする、ですね。どんな人間が来るのか、地域の人は気にします。僕も移住して住んでいる側になると、新しくやってくる人が気になりますから。しっかり礼儀正しく挨拶をして、自分がどんな人間かわかってもらうのが重要だと思います。

 これは私もYouTubeのコメントでいただいた指摘でもあるんですけど、最初から自己主張しないほうがいいのかなって。「自分はこの地域のここを変えたいんです」みたいなものを抱いていても、その地域には住んでいる人が大事にしてきた伝統や文化があるので。そういったところを侵害しないように、自分のやりたいことを実現していくというバランスも求められるんじゃないですかね。

徳島県鳴門市で撮影したもの 写真=本人提供

――大変な思いをされたのに地方移住をやめなかったのは、なぜですか?

柳生 いま電気代やガス代が高騰していますけど、そうした経済面での不安ですね。お金の面で恐怖を覚えながら生活するのが一番のストレスで。「これからなんの値段が上がるんだろう?」って考えながら暮らすのは、ちょっとしんどいなって。

 薪風呂や釜戸でご飯を炊いたり、可能な限り自給自足をして、その魅力を発信して収入を得るのが、自分としては最も理にかなった生活なのかなって。ほんと、満員電車で通勤するのはもうこりごりなんで。

 柳生明良氏が移住していた自治体の担当者にも話を聞いたところ、「元地域おこし協力隊員がこのような動画を投稿したことや、ご本人と家族が移住を断念したことは残念に思っています。(動画の)内容については事実もありますが、事実でないこともあり、事実を歪曲している部分もあると思います」と話す。また、移住を断念するまでの時系列に関しても、「認識が違う部分がある」と話した。

 

 今後はトラブルを防ぐために、地域おこし協力隊を募集する際は事前により具体的な業務内容を説明し、地域おこし協力隊員と地域の住民が直接の連絡や指示をすることは避けて、間に自治体が入ることを住民にも説明したという。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。