今期の大河ドラマは、徳川家康が主人公の「どうする家康」。現在、発売中の「週刊文春」3月9日号では磯田道史さんが4ページにわたって、実際の家康はどんな人物だったのか徹底解説する「ほんとうの徳川家康」ほか、主演の松本潤、織田信長役の岡田准一、物議を醸すCG問題をクローズアップするなど「どうする家康」特集を掲載中。ここでは、女忍者として存在感を見せる松本まりかの記事を特別に無料公開する。(初出:「週刊文春」2023年3月9日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)。
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見回り兵の前に現れた美女は、大胆に足を広げて妖艶に兵たちを誘い込む。油断した男の首筋をひと突きしたのは、松本まりか(38)演じるくノ一・女大鼠だ。
芸歴23年、実は家康大河の出演は2作目になる松本。
「15歳の時にNHKのドラマ『六番目の小夜子』でデビューし、同年の大河『葵 徳川三代』には家康の孫・千姫役で出演。ここまでは順調でしたが、その後長らくブレイクせず石原さとみ、蒼井優、宮﨑あおいら同世代の友人たちがどんどん売れていく中、ひたすらレッスンを重ねていました。長い下積みを経て、テレ朝のドラマ『ホリデイラブ』(2018年)の仲里依紗の夫を奪う悪女役で脚光を浴びました」(芸能記者)
ブレイクのきっかけを作ったのは舞台。それを見ていたドラマプロデューサーの目に留まって抜てきされたのが、この悪女役だったのだ。松本自身、インタビューなどでは「小劇場とのご縁がなければ今の私はいない」と語る。彼女を見出した演劇ユニット「城山羊(しろやぎ)の会」脚本・演出の山内ケンジ氏の証言。
「(プロデューサーが見に来た舞台は)謎めいた女性が妻を喪った家族の中に侵入してくるという作品です。その前に1つ、彼女に当て書きした作品があり、彼女にとってはそれが初めての不倫する女性の役だったんです」
芝居の中では悪女でも、素顔はストイックだ。
「松本さんはとにかくまじめ。舞台の公演日程が始まっても、納得がいかないシーンをもう少しやらせてほしいと言われ、直前まで何度も練習しました。そこまでする俳優はなかなかいないですね」(同前)