既婚でありながら、女性に「好意を抱いた」という馬奈木弁護士。守るべきはずの依頼人との間に何があったのか。女性が東京地裁に提出した訴状には、事態の詳細が記されていた――。
ことの発端は、原告の女性が馬奈木弁護士に「なくす会」の活動について相談していた2019年9月にさかのぼる。馬奈木弁護士はこのころから、仕事に役立つなどの口実で女性を観劇や飲食に頻繁に誘うようになった。11月、12月ごろには月に8回のペースで観劇に連れ出していたという。
ある日、ほかの演劇関係者とともに居酒屋で飲食している時に、馬奈木弁護士は掘りごたつ式のテーブルの下で女性のふくらはぎをなでるように触ったほか、その後もタクシーの車内で手を握るなど、徐々に身体的接触をエスカレートさせていった。
女性から見た馬奈木弁護士は、20歳も年上で演劇業界に強いコネクションを持っているまさに“強者”。「なくす会」の顧問を務めてもらっているうえに、今後の俳優活動に支障が出ることを恐れ、馬奈木弁護士の誘いをはっきり拒否しにくい状況に陥っていたという。
2021年からは女性の名誉毀損訴訟の代理人も引き受けた馬奈木弁護士は、その状況につけこむ形で露骨に性的関係になるよう繰り返し誘ったほか、入浴中の写真を求めたり、卑猥なLINEメッセージを送ったりするようになる。「あなた1人くらい養えるよ」「60万円くらい払うよ。月にいくらほしいの」と”愛人契約”を持ちかけていたこともあったという。
「結局。舐められてたんだろうな」
2022年1月31日、執拗に性的関係を求められた女性は、不本意ながらも馬奈木弁護士と性行為に及んだ。精神的苦痛を受けた女性はその後、性的関係を断ったという。だが馬奈木弁護士は、訴訟に支障がでる可能性をほのめかし、性的関係の継続を求めるメッセージを送るようになった。その一部を掲載する。
<(女性が以前、感謝を伝えたメッセージに対し)これも嘘だったな。>
<自分が言ったことを一週間も続けられないってのが、なんか裏切られたというかうーん、軽く見られてたのかなあ、結局。舐められてたんだろうな。>
<裁判だって、なんかお任せって思ってるのかな、ひょっとして。負けたらお金払うだけじゃ済まないよ。会見開いて、会の活動への嫌がらせだって大見えきって、反訴予定って書面にも書いて、それで次の期日の対応を考えないといけない決断をして、折り返すって言って、何もなしはどうなんだろ。(中略)体調が良くないってことなんだったら、それだけ送るでもいいし、何にもなしで許されるような距離感をやめようって、あなたが自分で何時間か前に決めたばかりじゃん。ちょっとあり得ないと思うよ。あなたの裁判だよ。>