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 遺体に共通していたのは頭部の陥没骨折、そして足の殴打痕。うち3人には「口の中に何かを突っ込まれた」形跡があった。

「家で寝ちょったら殺されるかもしれん」

 貞森さん夫妻と山本さん、3人の遺体は黒く焼け焦げ、確認のために山本さんの遺体を警察から見せられた息子は、どっちが頭なのか足なのか分からなかったほどだという。のちに行われた司法解剖では、頭蓋骨の陥没骨折や、顔部分の皮下出血が認められ、頭部や顔を鈍器のようなもので激しく殴られて殺害されたことがわかった。

 石村さんの遺体にも同じく、後頭部や膝の裏、そして顔面を激しく殴打された痕が見られた。口の中にも損傷があり、何か棒のようなものを突っ込まれた形跡があった。

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 聡子さんも同様だ。首の後ろを激しく殴られたことが致命傷とみられた。彼女の口の中も血まみれで、前歯が折れていた。

「家で寝ちょったら殺されるかもしれん」

 連続殺人であることを悟った村人たちは怖がった。県警は、さらなる犠牲者が出ることを防ぐため、昨日は投票場だった「金峰杣の里交流館」に村人たちを避難させた。そこで寝泊まりを始めた村人たちにとって、参院選の投票結果など、もはやどうでもいいことだった。

 集会場の外では、約400人もの県警捜査員が村中を回り、男の行方を捜し続けている。村の入り口に張られた規制線の外には、おびただしい数のテレビ中継車が並び、上空には報道ヘリが音を立てて飛び交っていた。

「平成の八つ墓村」とネットでも騒がれ始める

 一度に5人が殺害されるという大事件が発生した村には、地元だけでなく東京からも多くの記者が詰めかけたが、そんな彼らが何よりも注目したのは、“カラオケの男”の家のガラス窓に掲げられた不気味な「貼り紙」だった。

「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」

 山口県周南市金峰(みたけ)で21日夜、全焼した民家2軒から3人の遺体が見つかり、翌22日に別の民家2軒から新たに2人の遺体が見つかった事件で、火災現場で見つかった3人はいずれも頭部に外傷があり、ほぼ出火と同じ時刻ごろまでに死亡していたことが、司法解剖の結果わかった。県警は、3人が殺された後、放火されたとみている。

 

 県警は22日、5人が殺害された連続殺人・放火事件と断定し、周南署に捜査本部を設けた。県警は同じ集落に住む男(63)が何らかの事情を知っているとみて、自宅を殺人と非現住建造物等放火の疑いで捜索した。男は行方が分からなくなっている。(中略)

 

 全焼した山本さん方の隣の民家には「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」と、放火をほのめかすような貼り紙があった。(朝日新聞 2013年7月23日)

 

 14人(原ママ)が暮らす集落で5人の遺体が次々と見つかった。携帯電話も通じない、山口県周南市の山間部で起きた事件。「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」。全焼した民家の隣に住む男(63)は所在不明で、自宅には放火をほのめかす貼り紙も残る。「家族のよう」と言われる山里で、何が起きたのだろうか。(四国新聞 2013年7月23日)

 

 警察はC【山本】さんの住宅の隣に住む63歳の男が、2つの住宅に火をつけた疑いがあるとして、殺人と放火の疑いで男の自宅を捜索しました。

 

 その際に室内から外に見える形で窓に貼り紙があり、紙には「つけびして煙り喜ぶ田舎者」と書かれていました。

 

 男は、現在、行方が分からなくなっていて、警察は貼り紙の内容が放火への関与を示すものとみて、男の行方を捜査するとともに、一連の事件との関連について調べています。(NHKニュース 2013年7月22日)

 8世帯・12人の村で3分の1以上が殺害され、姿を消した男の家には不気味な貼り紙。

 さっそく「平成の八つ墓村」などとネットでも騒がれ始めた。