「残念ですが、これが韓国野球の現住所。実力の差を見せつけられた試合でした」 

 地上波SBSのスポーツキャスターはこう声を落とした。 

 韓国に勢いがあったのは3回表までだった。 

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 結果は日本13-4韓国。

 14年ぶり、因縁の韓国戦は侍ジャパンが圧勝した。

第5回WBC1次リーグ・日本-韓国戦での大谷翔平 ©時事通信社

大会前から日本代表選手の動きが細かく報じられていた

「崖っぷちの韓国野球、日本戦は生死の決断」(スポーツ京郷、3月9日) 

 初戦のオーストラリア戦でまさかの黒星となった韓国は、先発にジョーカーとして準備していた、“日本キラー”の左腕、金広鉉(SSGランダース、34)を起用。「日本戦必勝」を掲げたが、その金広鉉も3回裏から投球が乱れ、3イニングを投げ切ることなく降板した。その後は投手が次々と交代し、投手力の弱さがもろに出た試合となった。 

 しかし、韓国はWBSC(世界野球ソフトボール連盟)男子野球部門で世界ランキング4位。ここまで負けると誰が予想しただろうか。 

 意地とプライドを賭けた日韓戦でも、WBCはまた格別なはずだった。

「戦って相手が向こう30年、日本にはちょっと手を出せないなみたいな、そんな感じで勝ちたい」。17年前の第1回大会(2006年)で、イチロー(当時シアトル・マリナーズ)が語ったこの意気込みは、韓国では「傲慢」「韓国を侮辱した」と受け止められた。打倒日本への闘志を燃やした韓国は日本に勝ち、準決勝進出を決めると、マウンドに太極旗を突き刺す暴挙に出て物議を醸した。

 しかし、これは09年の第2回大会でも再現された。第2ラウンド2回戦、韓国が1位決定戦に進出を決めた直後のことだった。WBCでの日韓因縁の対決はこのときからだ。

 第1回大会では日本が優勝、韓国はベスト4。第2回大会は日本が優勝、韓国は準優勝と実力は拮抗していたのだが。 

 今大会も開幕前から韓国メディアは日本を最大のライバルとし、日本代表選手の動きを細かく報じていた。メジャーリーガーが4人入り、日本国内の強打者が揃った日本代表は「強豪」が概ねの評で、なかでも別格扱いだったのは大谷翔平(LAエンゼルス)だ。