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記者会見で匂わせていた、韓国の「微妙な立ち位置」

 そして、東京五輪で活躍し、今大会、日本でも「イケメン選手」と注目を集める韓国の人気スター李政厚。日本戦では3回表、右前にタイムリーを飛ばしたが、その後は沈黙した。

 李は中日ドラゴンズで活躍した李鍾範の長男で、名古屋市生まれ。父、李鍾範は、KBOの16年間で1797安打、194本塁打、通算打率は.297。4度の盗塁王に輝き、「風の子」といわれた韓国伝説の野球スターだ。

 李政厚は父親に負けず劣らず、幼い頃から頭角を現し、高校を卒業した2016年にドラフト1位で指名され、「ネクソン・ヒーローズ(現在キウム・ヒーローズ)」に入団。17年、158安打を叩き出したことでKBOの新人最多安打記録を23年ぶりに塗り替え、新人賞を獲得した。

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李政厚 ©AFLO

 昨シーズンは193安打、打率.349と大活躍し、2年連続首位打者に。5年連続のゴールデングラブ賞を受賞し、史上初となる父親とのダブルMVPも獲得している。父の異名にあやかって「風の孫」ともいわれる。

 米MLBでも名前があがっており、今大会はメジャーへのショーケースといわれ、大会前は「是が非でもベスト4 に行ってアメリカでプレーを見せたい」と意気込みを見せていたのだが。

 韓国にとって考えたくないこの惨敗はうすうす予想もされていた。メンバーが出そろった1月の記者会見で、李強喆監督(KTウィズ監督、56)は「韓国野球の危機だと言われるが、危機を機会にして若手とベテラン選手がそろった代表チームでできるだけ多くの試合ができるよう準備を整えていく」と危機感をあらわにした決意表明をしていた。

 金河成も、「野球はビリが1位を負かすことができる種目。かつて先輩がアメリカや日本を負かした機運を引き継いで、韓日戦も勝てるようベストを尽くす」(スポーツ東亜2月17日)と話し、韓国代表の現在の微妙な立ち位置を匂わせていた。

 韓国は、2008年の北京オリンピックでの金メダル以降、2013年、17年のWBCでは一次ラウンドで早々に敗退し、東京オリンピックでも6カ国中4位という国際大会での不振が続いた。韓国内でも一部選手の八百長事件や飲酒運転などの不祥事によりファンが減少しているといわれてきた。

 今大会、日韓戦で弾みをつけ、ベスト4まであがることが韓国野球を建て直す絶好の機会といわれていた。12日のチェコ戦はそれこそ負けられない一戦となった。