虻川 それから慌てて合コンに行ったんですけど、黒のスーツ上下で参加したらまるで男装の麗人。経験がないから着ていく服がわからなかったんですよね。周囲はドン引きで、当然結果は出ないし、逆に奢らされて終わってしまったこともあり、合コンはダメだなと。
それをバーのママに話したら、「アンタなんか仕事現場にたくさん男いるでしょ」と言われたことでまたハッとしまして。
――たしかに、虻川さんの周りには魅力的な方がたくさんいそうな気がします。
虻川 仕事で会う人を恋愛対象として見る思考がまったくなかったのですが、恋愛スイッチをONにした途端、ロケで一緒になったのが今の夫だったんです。
女芸人に助けてもらい、夫と付き合うことに
――ロケで出会ってどうやって恋人関係に?
虻川 「私が奢るから店のシェフの電話番号をゲットしてください」と、大久保(佳代子)さんをはじめとした仲のいい女芸人にお願いして、皆で夫の店にご飯を食べに行きました。そこで見事に番号をゲットしてもらったんです。
――女芸人の皆さんの助けで縁ができたんですね。
虻川 その後すぐに2軒目に移動して作戦会議までして。みはるさん(※モノマネ芸人。Mr.シャチホコさんの妻)はメールの文面を考えるのがうまい恋愛マスターって感じで、「いきなりハートは重いから赤いリンゴの絵文字をハート代わりにしよう」と考えてくれて、そのまま送りました(笑)。そうした皆の助けがあって、彼とお付き合いできるようになったんです。
――過去のインタビューで、女芸人の方の中には恋愛や結婚を諦めているとおっしゃっていた方もいました。虻川さんも芸のために恋愛を封印していたようなところはありますか?
虻川 結果的にそうなっていましたが、我慢とか諦めというよりかは、ずっと仕事に200%の力を使っていたので他のことを入れ込む余地がなかった、という感じです。
会う人全員、敵だと思っていた
――ではバーのママの一言から行動されて、恋愛、結婚、出産と大きくシフトチェンジしていったわけですね。
虻川 人生の幅というか、それこそ片思いのネタも『はねるのトびら』でやったりしてたので、仕事以外に目を向けてもいいんじゃないかと思えたんです。道端に咲いてる花に幸せを感じられるような感覚は産後はじめて知ったかもしれません。今までの自分が人間としてどうかしてたんだと思います(笑)。
――それだけ仕事の環境が過酷だったと。
虻川 それまでは、会う人全員、敵だと思っていました。どうかしてますよね(笑)。時代もあったと思いますが、それこそ笑いのためには周りを傷つけることも厭わないみたいな生き方をしていました。
写真=橋本篤/文藝春秋
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