虻川 保育園に入れるまで子どもの預け先を確保するのが本当に大変で、かといって仕事も諦めたくなくてロケを無理して入れていた時期があったんです。でもロケって長引きがちだし、そうなった時に予定の組み換えというか、子どもを誰に引き取ってもらってどこで預かってもらうかみたいな段取りを考えるのが苦手で、苦痛だったんです。
そんな時、駅前で預け先のやりとりを携帯でしていたら一緒にいた子どもが泣き出しちゃって、その途端、「耳が痛い!」となって聞こえなくなっちゃって。
育児にスポーツ根性は通用しない
――ストレスが症状として出てしまったと。
虻川 早くに病院にかかったので数ヶ月で元に戻ったんですけど、自分の不安が息子にも伝わっていたのか、当時は子どももよく泣いていました。親子ともにつらい時期でしたね。
私、学生時代にソフトボールをずっとやってたんですけど、腿に手をぶつけて投げるから、腿がアザで真っ青になるんです。でも、続けるうちに痛みがなくなっていって、上達していく。それと同じ感じで、つらいことを我慢して乗り越えたら完母(完全母乳)ができると思ってたんですよね。けど結局、母乳が出なくて挫折しました。
――育児にスポーツ根性は通用しなかったと……。
虻川 仕事も根性で乗り切れたし、体力にも自信があったから余計に自分を過信していたところがあったと思います。あとは、マニュアルにがんじがらめになっていました。育児本にならって授乳のときはテレビやスマホを一切見ず、片乳何分としっかり時間をはかりながら、修行僧のように授乳してましたからね。
そんな時、久しぶりにテレビをつけてみたらロバートがすごいゆるいロケをしてて、自然と笑いが出たんです。計算された漫才やコントではなく、なんでもない日常でもお笑いになるんだというか、ちょっとしたことで幸せになれるってことを教えてもらった気がしました。
「私の人生、ロクに恋愛してこなかったじゃないか!」
――育児もお仕事も、虻川さんはストイックといいますか。もともと虻川さんは結婚願望が強かったのでしょうか。
虻川 30代前半まではずっと仕事のことしか頭になかったです。光浦(靖子)さんに連れていってもらったバーのママに「アンタの話はさっきから仕事ばっかでつまんない。男の話のひとつできないわけ?」と言われてハッとして。「私の人生、ロクに恋愛してこなかったじゃないか!」と雷が落ちた気がしました。
――すぐになにか行動されたのですか?