北朝鮮側の思想にハマった人たちも多数
左派にとっては、民族単位で成立しなかったいまの韓国は不完全なもので、政府を2つ認める連邦制でもかまわないので、とりあえず統一しないと「国」も始まらないと信じています。特に、全員がそうだとは信じたくありませんが、反共(反・共産主義)意識が強かった軍事政権の頃に民主化運動という名で政府と対立し、北朝鮮側の思想にハマった人たちも多く、北朝鮮、金日成(キムイルソン)ファミリーを崇拝する人たちもいます。
彼らは左派政権で国会議員になるなど破格な出世に成功、彼らを支持してきた市民団体もまた癒着し、政治勢力としての道を歩むことになりました。そのせいか、韓国には、韓国の国旗や国歌などに反感を持つ国会議員や市民団体などが、少なくありません。
彼らの教育は、軍事政権時代に徹底的に「国家の半分を違法占領し、朝鮮戦争を起こして民族同士の殺戮(さつりく)を起こした「怨讐(おんしゅう)」と教えられてきた北朝鮮を、なんとかフォローしようとしました。そのためには、それまでの「民族の敵」という概念を、別の対象に向ける必要がありました。
反日による反共の代替
そこで、すでに軍事政権時代にも根強く存在していた「反日」が、「反共」にかわる新しい国是として浮上します。民族の敵は北朝鮮ではなく、日本だ、というのです。その代表格が、「私たちの分断に対し、米国や旧ソ連だけでなく、日本も大きな責任がある」とする主張です。
この流れは、いまでも多くの韓国人の頭のなかに、「分断されるべきは朝鮮半島ではなく日本だった」という主張として残っています。同様に、朝鮮戦争に関する考え方にも影響しました。軍事政権が朝鮮戦争のときに行った民間人虐殺などの調査も進み、「韓国が北朝鮮による朝鮮戦争の被害者」という側面より、「韓国も北朝鮮も共に被害者で、朝鮮戦争はその副作用」という側面が強調されるようになったのです。
当時、韓国政府は国家事業として進めていた高速インターネット回線普及とともに、この「反日による、反共の代替」は、急激に広がり、多くの国民から絶対的な支持を得ることができました。