麻生と東谷は元々知り合いだったわけではない。麻生はハワイに別荘を持っており、その別荘などの管理を任されているハワイ在住のコーディネーター、「コウヘイ」こと山口晃平が東谷と10年来の友人だった。麻生が春先にハワイに滞在していた際に山口から東谷と交友があることを聞き、山口に紹介してほしいと依頼したのだ。
麻生としては瞬く間に人気チャンネルに躍り出たガーシーCHに注目し、チャンネル登録者数が伸び悩んでいる自らのYouTubeの起爆剤に東谷とのコラボ配信ができればという思惑があった。収益化の見通しは立っていたが、一日も早く被害者への弁済をしたかった東谷がBTS詐欺の被害総額にあたる4000万円の貸付を共演の条件にしたところ、麻生は承諾した。
この日は仲介した山口もハワイから駆けつけ、麻生は側近や自身のYouTubeの撮影スタッフを同行させていた。
仲間からは「あの人は絶対ダメだ」と言われたけども
弁済資金の貸付に麻生の周辺は反対などしなかったのか。
東谷は少なくとも知人女性ら約40人から「BTSに会わせる」と言って旅行代金やライブ鑑賞などの諸費用の名目でお金を集めた。その総額は約4000万円に上る。その約束を履行せずにお金を返済していない状況にあった。その上、そうした「詐欺的行為」が露見すると、急に連絡を絶った芸能人の友人らに対し、「手のひらを返された」としてスキャンダルの暴露を始めていた。
一般的な企業のコンプライアンス(法令遵守)に照らせば、金銭の貸付はおろか接触さえも高リスクと判断し、敬遠するのが普通にも思える。
この点について生配信前に、麻生はあけすけに気持ちを語っていた。
「いや、めっちゃみんなに止められたんだけど。あの人(東谷)は絶対ダメだと。でも僕はそういう止められる時の判断は我慢できないんだよ」