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ガーシーとルフィの共通点

 まず当然のことながら、麦わらの一味はあくまでも海賊団であり、少年漫画にありがちな「正義」の側ではない。対照的に、正義を振りかざすのはルフィたちに懸賞金をかけて追い回す世界政府傘下にある海軍だ。海軍将校たちの制服の背中には常に「正義」の二文字が掲げられている。

 そして、いずれも海賊を目指す少年期のルフィ、エース、サボの3人が酌み交わすのは「兄弟盃」だ。「お前ら知ってるか? 盃を交わすと“兄弟”になれるんだ」「おれ達3人の絆は“兄弟”としてつなぐ!! どこで何をやろうとこの絆は切れねェ……!!」(コミックス60巻、エースのセリフ)

 こんな場面もある。新世界でのドンキホーテ海賊団との戦いでルフィと共闘した7人の海賊団の船長たちはルフィを親分、自分達を子分とする「親子盃」を申し出るが、ルフィは「窮屈」「偉くなりてェわけじゃねェ!!!」と拒む。だが「まことに勝手ながら」として子分たちだけで「子分盃」を強行する。

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「ここに我ら子分となりいついかなるとぎも親分“麦わらのルフィ”先輩の盾となり!! また矛となる!!! こ度のご恩に報い!! 我ら7人!! 命全霊をかけてこの『子分盃』!! 勝手に頂戴いたしますだべ!!!」(コミックス80巻、海賊バルトロメオによる口上)

 血縁関係がない者同士が盃を交わすことで疑似的な血縁関係を結び、兄弟になったり、親子になったり。仁義や交わした約束などが重んじられるシーンも数多い。これは日本の伝統的な任侠組織のシステムと同一であり、ワンピースはそんな世界観で成り立っている。

 もちろん東谷はヤクザでもなければ、組織に所属したこともない。ただ、前にも言及したが、東谷本人が若いころからそうした者たちに免疫があり、普通の人に比べて抵抗感が薄いのはたしかだろう。

 そうした価値観は暴露にも反映され、その一つが暴露では本人だけでなく、その周囲の人物も晒すという東谷独特のやり口がある。元「2ちゃんねる」管理人のひろゆきこと西村博之とツイッターなどで応酬したときは西村氏の妻も攻撃対象にした。楽天の三木谷の攻撃時は妻や子どもにも矛先を向けた。

 そんな情け容赦ない喧嘩術はある種、ヤクザ的である。東谷は「その人のアキレス腱を攻める。周囲の人を暴露したら一番嫌がるのはわかっている。それが俺のやり方やから」と悪びれずに繰り返し述べている。