「もしかして私、本気でアナウンサーになりたいのかな?」
——それでもキー局のテレビ朝日でアナウンサー試験を突破されました。
宇賀 それはもう、ご縁としか言いようがないですよね。実は、その前に某キー局の役員面接で落ちているんです。周りの就活生はみんな、大学時代にアナウンススクールに通ったりミスコンに挑戦したりして、本気でアナウンサーを目指してきた人たちばかり。
私はそういう人たちに比べると準備不足だったから、受かるわけないと思っていました。むしろ、「ここまで来れたのが奇跡」だと思っていた。でも結果を聞いた時、自分が思っていた以上にすごく悔しかったんです。
——それはどうしてでしょう。
宇賀 面接で上手く話せた自信はなかったけど、「ここまで来たらもしかしたら受かるかも」なんて、内心ちょっと期待していたのかもしれません。そのあとしばらくは「もしかして私、本気でアナウンサーになりたいのかな?」「いやいや、無理でしょう」って自問自答を繰り返していました。
そんな私の浮かない顔を見た親友が、気分転換に温泉旅行を提案してくれたんです。その日のうちに鬼怒川に向かって、2人で温泉に浸かりながら本音を打ち明けているうちに、「やっぱりもうちょっと頑張ってみよう」と決意が固まりました。それで、東京に戻ったその日にテレビ朝日のエントリーシートを一気に書いて出したんです。
入社初日に『報道ステーション』で気象キャスターデビューすることに
——そして見事、内定を勝ち取った。
宇賀 温泉で気持ちを切り替えられたのも良かったのだと思います。それに会社からしたら、これといったスキルや実績がなかったのが、かえって印象に残ったんでしょうね。きっと面白がっていただいたのかなと。
——入社初日に『報道ステーション』で気象キャスターデビューされたとか。どんな経緯があったのでしょうか。
宇賀 卒業を控えた大学4年の年明け、急に会社に呼び出されて。行ってみると、当時のアナウンス部長をはじめとした“大人の人たち”が2~3人座っていました。その日は何を聞かれるわけでもなく雑談して終わったんですが、そのあとに人事を言い渡されました。