テレビ朝日のアナウンサーとして、『報道ステーション』『グッド!モーニング』『羽鳥慎一モーニングショー』などの番組で活躍した宇賀なつみさん(36)。2019年3月末にテレビ朝日を退社し、現在はフリーアナウンサーとして活動している。旅を通して自身の半生を振り返った初エッセイ『じゆうがたび』(幻冬舎)も好評だ。

 そんな彼女に、局アナ時代の苦労や悩み、テレビ朝日退社を決意した理由などを聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)

宇賀なつみさん(36)©山元茂樹/文藝春秋

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変化のない日々にどんどん焦りを感じるように

——『報道ステーション』の気象キャスター時代には、自身のキャリアに悩んでいた時期があったそうですね。

宇賀なつみさん(以下、宇賀) 1年目はとにかく無我夢中だった私も、2年目になって少しずつ仕事に慣れてきて。そんな時、ふと周りの同期を見ると、スポーツ番組やバラエティ番組の仕事が決まり、次々とチャレンジの幅を広げている。一方で自分は、いつまでも同じ場所で足踏みをしているような気がしました。

「入社してすぐ『報道ステーション』に出て、恵まれている」と周りに言われていたのを知っていたからこそ、早く結果を出さなければという思いもあった。変化のない日々にどんどん焦りを感じるようになりました。

 

「どうすればもっと他の仕事ができますか?」大先輩に相談

——著書の中では、その時期に「古舘さんに直談判した」と書いてありました。

宇賀 そうなんです。3年目の春、改編の時期になっても異動の話が出なくて、1年前くらいから抱えていた焦りがピークに達してしまって。どうせ言うなら「一番“偉い人”に相談しよう!」と電話をかけたのが、当時の『報道ステーション』のメインキャスターで、アナウンサーの大先輩でもある古舘さん。開口一番「私、お天気お姉さんになりたかったわけじゃないんです。どうすればもっと他の仕事ができますか?」と言ってしまった。

 それまで個人的な相談をしたことがなかった私から、突然電話でそんなことを言われて、さぞ迷惑だったと思います。でもその時の私はあまりにも必死で、後先を考える余裕もなかったんです。