2019年3月末にテレビ朝日を退社し、事務所に所属しない“完全フリーランス”に転身した宇賀なつみさん(36)。以降、情報番組のMCやラジオパーソナリティとして活躍している。今年2月に上梓した旅エッセイ本『じゆうがたび』(幻冬舎)も話題だ。
そんな彼女に、テレビ朝日退職を決めた理由、独立の真相、フリーランス転身後の生活などを聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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ベトナムでテレビ朝日退社を決意
——2018年の夏、ベトナム旅行中にテレビ朝日退社を決意されたそうですね。なぜベトナムだったのでしょうか?
宇賀なつみ(以下、宇賀) 日々忙しく過ごしていると忘れてしまう「余白」が、旅の中にはあります。職業や肩書きは関係なく、ただ自分自身になって、そこにいる。だからこそ、大切なことに気づけるんだと思うんです。
ベトナムでは東南アジア独特の緩い空気感の中で、昼間から地べたに寝そべってお茶を飲んでいたり、スマホをいじっていたりする大人もいて。そんな自由で穏やかなベトナムの暮らしを見ていたら、「人生、どうにでもなるな」って気がしたんです。
その時に「周りからどう見えるかではなく、自分がどう生きたいかに従おう」「早すぎても、遅くてもダメだ。フリーランスになるなら今しかない」と決心がつきました。
「宇賀がそう思うなら応援するよ」と受け入れてくれた周囲の人々
——ちなみに以前から「フリーランスになりたい」という思いはあったんですか。
宇賀 考えたことはありましたね。日記を読み返していて思い出したんですが、2013年9月、旅行でフランスのニースにいる時に「2020年の東京オリンピック招致が決まった」というニュースが飛び込んできて。いつものスタジオにいたら、スタッフみんなで「2020年まで頑張ろう!」ってわーっと盛り上がっていたかもしれません。
でも1人で地中海を眺めていたら、なんとなくそんな気持ちになれなかった。その日の日記にも「7年後は34歳か……」「番組の方向性とかスタッフの意向とか関係なく、自分の主観で物事を伝えていたい」って書いていたんです。だからその当時から、なんとなく「フリーになる」という選択肢は浮かんでいたのだと思います。