——退職される前はどなたかに相談を?
宇賀 いえ、誰にもしていないですね。自分のことは自分で決めたかったし、誰かに相談したら決意が揺らぐ気がして。それに、周りに退職の意向を伝えたらきっと慰留されるだろうなとも思っていました。
——実際はどうだったんでしょうか。
宇賀 びっくりするくらい、誰からも止められなかった(笑)。私の口からしっかり理由や思いを説明したら、みんな「宇賀がそう思うなら応援するよ」と快く受け入れてくれたんです。
独立を決めた最大の理由とは?
——テレビ朝日を退職後、芸能事務所に所属する選択肢もあったと思いますが、完全フリーランスを選んだのはなぜだったのでしょうか。
宇賀 まず、芸能事務所に入ったら“芸能人”にならなきゃいけないと思ったんですよ。でもやっぱり、私のなかで「自分は芸能人じゃない」という思いがある。それに「タレントとして売れないと」って頑張ろうとすると、自分の本当の気持ちとかやりたいことがぶれてしまう気もして。
私が独立を決めた最大の理由は、自分の人生を自分で舵取りしたいから。そのためには、組織の力を借りず、1人でやっていくのがいいだろうと考えました。
ただ、私ごときが生意気にもフリーになるなんて言ったら、多分もう二度と仕事をもらえないだろうなって本気で思っていました。事務所に入らないから仕事のオファーも来ないだろうし、テレビは難しいだろうなって。
でもそんな時に、個人事業主として活動されているジャーナリストの池上彰さんに、「ひとりでやっていきたいと思っている」とご報告をして。
「全部が“取材”だ」池上彰さんに言われた言葉
——池上さんですか。
宇賀 池上さんはたくさんのお仕事を抱えているのに、本当におひとりでやっていて。オファーも直接ご本人が受けているんです。
そんな池上さんから言われたのは、「全部が“取材”だ」ということ。自分で営業するのも、経理業務をするのも、全部人生の学びになって、いつか人に話せるようになる。それって人生において大きなメリットですよね。全部が“取材”で、人生の糧になると思ったら、急に怖くなくなりましたね。