今年のアカデミー賞候補作品のなかで、注目を集めたある映画があった。フィンランドから届いた3人の少女の青春作品、『ガール・ピクチャー』だ。

 アンジェリーナ1/3さんによるこの作品のレビューを、発売中の『週刊文春CINEMA!』より一部を抜粋して引用する。

(劇中より)© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

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 この映画がすごい素敵だなと思ったのが、友だち同士の会話の中で、自分は自分であっていいという考え方がそれぞれ確立していることなんです。

 主人公の3人の女の子たちにはそれぞれ、自分のセクシャリティや性についての悩みや葛藤があって、たとえばミンミちゃんは女性が好きなんですけど、それをいちばん近いお友だちであるロンコちゃんがまったく気にしていないのがすごくいいなと思って。

 性の問題って、周りに理解がないと一番辛いじゃないですか。最近やっと理解されてきてはいるけど、いまこれを日本でやったら、いろいろ疑問をぶつけたりしてシビアな対人関係っていうものが描かれてしまうと思うんですけど、この映画の場合は、それぞれの違いにフォーカスしないで、サラッと物語が進んでいく。こういうあり方でいいんだなって思えました。

 私は21歳になったので、映画の彼女たちより少し上ですけど、自分に重なるところも多々ありました。

同じ夢を追いかけながらよぎる「このままでいいのか」

 フィギュアスケートをやっているエマちゃんは、小さい頃から同じ夢を追いかけていて、でもこのままでいいのかって悩んだり、逃げたくなってしまう。