連日、高齢者を食い物にした特殊詐欺事件の報道が相次いでいる。3月15日には、警視庁が詐欺グループのリクルーター(「受け子」を勧誘する役)だった美容サロン経営の女を逮捕。同日に茨城県警は水戸市の自営業の男性(78)から7000万円もの現金をだまし取ったとして受け子の男(18)を逮捕している。

「オレオレ詐欺が社会問題となってから何年も経ち、手口を知っている高齢者も増えたことから近年は件数も被害額も減少傾向でした。しかし、昨年の国内の被害総額は361億円と、8年ぶりに増加に転じています。今年に入っても、“ルフィグループ”の事件によって再び詐欺が注目を集めており、活発に活動を続ける詐欺組織に対し警察も威信をかけて1件でも多い摘発を目指し力を入れています」(大手紙社会部記者)

ルフィこと渡邉容疑者

大阪府警の特殊詐欺検挙者として最高齢の逮捕者

 新しい詐術の手口が生まれては消え、いたちごっこが続いてきた警察と詐欺組織。最近は詐欺組織内での連絡手段が巧妙化するなどし、ルフィグループのように組織中枢が逮捕されることはきわめて希。警察の捜査は、現金回収役の「受け子」や詐取したカードを使って現金を引き出す「出し子」といった組織末端の実行犯の摘発にとどまるケースも多い。

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 実行犯はリスクが高い。だが、借金を抱えるなど複雑な事情を抱えた人間は、稼ぎの良さにひかれてこのような闇バイトに手を出す。軽い気持ちで犯行に手を染めたが最後、会ったこともない指示役に脅されて犯行を続けるケースなどが明らかになっている。末端実行犯は若年層に多いが、現在、各都道府県警が捜査をしている「史上最高齢」の受け子がいる。

「大阪府警は2月に宇都宮市の無職、田中正治容疑者(84)を詐欺などの疑いで逮捕、送検したと発表しました。昨年5月に高齢者2人から現金計380万円をだまし取った疑いです。息子の上司の弟という絶妙なプロフィールを騙り、平然と同世代の高齢女性をだましていたようです。府警の特殊詐欺の検挙者としては記録が残るもので最高齢です」(在阪事件担当記者)