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日本の新興企業などの中にはシリコンバレー銀行を利用していたところもあり、今後影響が出てくる可能性が指摘されている。また、西海岸を中心に、財政基盤の弱い中堅以下の銀行の株価が下落していて、この状況も引き続き注視していかなければいけない。アメリカの金融機関11社も16日、経営難に陥っているサンフランシスコ拠点の中堅銀行ファースト・リパブリック銀行を支援するため、約4兆円の資金を預け入れるとも発表している。アメリカの銀行破綻との直接の関係はないと政府は強調するが、銀行の経営に対する不安の高まりはヨーロッパにも飛び火し、スイスの金融大手「クレディ・スイス」の株価の暴落も起きている。

日本への影響としては、今後アメリカ全体に影響が拡大し経済が打撃を受けることで、急激な円高が進む可能性もある。アメリカ経済が打撃を受ければ、日本や世界経済にも連動するため、大きな経済的な不況に陥る恐れもある。

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)はインフレが改善されていないとして、一度緩めた利上げのペースを再び引き上げる見通しだったが、それも今回の銀行破綻で「利上げ」自体を、一旦停止に追い込まれるとの観測も出ている。バイデン政権としては「銀行への不安」と「物価高への不満」を両天秤にかける中で、一歩間違えれば、国民からの激しい批判も起きかねない状況で、迅速にこの問題を収束させたい考えだ。17日には破綻した銀行幹部の責任をより厳しくし、破綻前に自社株を売って得た利益を受け取れなくするなどの規制強化案も発表した。リーマンショックに比べて世界の金融網に対する安全策はとられているとされているものの、世界市場の不安が解決できるのかも問われている。

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(FNNワシントン支局 中西孝介)