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「年金は繰り上げ受給すべき?」 42歳で夫が突然死した“おひとりさま”が解説する、終活で“考えなくてよいこと”

2023/03/22
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 50代女性の6人に1人は非婚者の現代。おひとりさまで最後を迎えることに漠然とした不安を抱えている人も多いはず。でもきちんと対処していれば、じつはそんなに心配することはありません。“ひとり終活”指南を『週刊文春WOMAN2023春号』より、一部編集の上紹介します。

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生涯未婚率と離婚率が年々上昇

 突然の夫との死別は、夫も私も42歳のときに訪れた。ある朝、夫はすやすや眠ったまま、ベッドの中で冷たくなっていたのだ。前の晩までいつもと変わらず元気だったのに──。私自身はこうして12年前、おひとりさまになった。

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 厚生労働省『国民生活基礎調査』(2021年)によれば、65歳以上の高齢者世帯のうち31・7%が女性のおひとりさまで、実に477万6000世帯に上る。2001年調査では245万1000世帯だったので、この20年間で2倍近くに増加したことになる。

©AFP=時事

 もう少し若い世代は、たとえば50歳の女性の場合、5~6人に1人が結婚したことがない(2020年『国勢調査』の調査結果から筆者が計算)。もちろん、この女性たちが今後結婚しないとは限らないわけだが、生涯未婚率が年々上昇しているのは周知の事実だ。また、離婚率も上がっている。そう遠くない将来、高齢のおひとりさまがマジョリティになるのは間違いなさそうだ。

「ボツイチ(没いち)の会」を結成

 私はもともと死生学の研究者で、立教大学に開設された50歳以上のシニア層を対象とする立教セカンドステージ大学で長年、死生学の講義を行ってきた。受講生には「残された時間をどう自分らしく生きるか」を考えてもらっている。

 夫が亡くなった翌年、配偶者と死別した受講生やこの講座の卒業生たちと「ボツイチ(没いち)の会」を結成した。配偶者に先立たれた人が前向きに生きていくための懇親会である。

 これまでは男性が多く、この会に入りたいがためにセカンドステージ大学に入学する人もいる。自分が先に死ぬと信じて疑わず、妻に先立たれておひとりさまになるなんて想像もしなかった男性たちだ。