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●家計をどうするか?
 ライフスタイルが決まれば、お金のシミュレーションもしやすい。参考までだが、2021年の『家計調査報告』(総務省)によれば65歳以上の単身世帯の1カ月の消費支出の平均額は13万2476円である。

 年金は国民年金(老齢基礎年金)、厚生年金とも受給できるのは65歳からだが、繰り上げ受給は60歳から、繰り下げは75歳まで可能だ。繰り上げの場合は受給開始が1カ月早まるごとに0.4%(1962年4月1日以前の生まれの場合は0.5%)減額されるので、60歳になってすぐ受給する場合は24%(1962年4月1日以前の生まれの場合は30%)の減額になり、この支給額は生涯変わらない。

 繰り下げの場合は受給開始を1カ月延ばすごとに0.7%増額されるので、最長の75歳まで繰り下げると84.0%も受給額がアップする。年金の見込額は日本年金機構のねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/)で試算できる。“人はいつ死ぬかわからない”ことを身をもって知った私自身は60歳からの繰り上げ受給を考えている。

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高齢者の医療費や住まいに関することは心配だが…

考えなくてよいこと

●医療費は心配しない
 高齢になると病気になる頻度は高くなるが、日本の公的医療保険では、70歳以上の年金生活者の自己負担割合は現役時代より低くなる。また、通院だけなら月に1万8000円、通院と入院も含めて月5万7600円を超えた医療費は、高額療養費制度によってすべて還付される。月5万7600円までなら支払える、それを超えたとしても還付されるまで立て替える感覚で貯金から支出できるようであれば、民間の医療保険に入る必要はない。

●住まいは保証人がいなくても大丈夫
 高齢者が賃貸住宅を借りる際や老人ホームの入居時に、保証人がいないと入居を断られるケースがあるが、最近、保証人を立てず保証会社を利用する人が増えている。賃貸住宅の場合、初年度の保証料は、月額家賃の半月から1カ月分程度だが、家賃を滞納しなければ次年度からは安くなる。

※病気や認知症に備えるためにすべきこと、終の棲家の決め方、死後事務や遺産の分配方法など、ひとり終活で考えるべきこと、考えなくてよいことの全文は『週刊文春WOMAN2023春号』に掲載されている。