WBC2023でも侍ジャパンを代表する活躍を見せた大谷翔平。MLBでもこれまで同様、またはそれ以上の活躍が期待される同選手だが、2023年のMLBでも、彼は好成績を残し続けることができるのか。

 ここでは、MLBジャーナリストのAKI猪瀬氏の著書『大谷翔平とベーブ・ルース 2人の偉業とメジャーの変遷』(角川新書)の一部を抜粋。MLBの2023年シーズンが開幕したいま、改めて大谷翔平がこれまでもたらしてきたインパクトを振り返っていく。(全2回の1回目/後編を読む)

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さらなる偉業を目指して

 9月3日、本拠地でのアストロズ戦。この日の大谷は、スライダーを軸に新球ツーシームを多投する新たな組み立てでアストロズ打線を翻弄した。試合後、ネビン監督代行は大谷の新球について「ホームベースを横切るほどの変化量があり、球速は158、159キロを計測した。打者にとって非常に難しい球種になる。ボールが食い込んでくる右打者は、特に厄介だ」と絶賛。大谷本人は「何球かはいい当たりを打たれたが、自分が投げようとしているところにコントロールできていた。試合の中で数多く投げることができたので、自分的には非常に満足している」とコメント。

 この日、今季最多となる111球を投げ、8回1失点、5奪三振を記録。そして、シーズンの投球回数が2021年の130回1/3を超え、自己最多となる136回となり、3回にはJ・J・マティジェビックからMLB通算400奪三振を記録した。

 9月5日、本拠地でのタイガース戦。3回裏、相手先発左腕タイラー・アレキサンダーの初球のストレートをとらえた打球は、低い弾道のままライトフェンス上部を直撃した。フェンスを越えることはなかったが、フェンス中段に引かれている本塁打認定の黄色ラインを越えたため第31号2ラン本塁打となった。7回裏、先頭で回ってきた第4打席、この回から登板したギャレット・ヒルの初球スライダーを振り抜くと、打球は大きな放物線を描きながら左中間スタンドに着弾する第32号ソロ本塁打となった。2022年、6度目のマルチ本塁打となり、00年にトロイ・グロースが記録したエンゼルスのシーズン最多マルチ本塁打試合に並んだ。

©文藝春秋

 9月7日、本拠地でのタイガース戦。3打席連続三振でむかえた7回裏、投手はこの回からベテラン左腕のアンドリュー・チャフィン。3球目のツーシームに差し込まれながら、とらえた打球は右中間スタンドに突き刺さる第33号ソロ本塁打となった。