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 第5回の受賞者はケンタッキー大学のAJ・リード投手兼一塁手。大学3年間で投手として46登板、35先発、19勝13敗、防御率2.83。打者では176試合、3割0分6厘、40本塁打、168打点を記録。大学3年時には全米最多となる23本塁打を記録し、アストロズの2位指名を受けてプロ入り。プロ入り後は打者専任となり、2016年にMLBデビュー。その後、ホワイトソックスに移籍し、20年3月4日に26歳で引退を発表した。

取れる賞は総なめ、二刀流誕生が期待されたブレンダン・マッケイ投手兼一塁手

 第5回までの受賞者は、マイク・マギーとAJ・リード以外は、投手としての実力を評価されてプロ入りしたために二刀流での実績はないが、第6、7、8回と、大学1年生からドラフト指名を受ける大学3年生まで3年連続でジョン・オルルド賞を受賞した、ルイビル大学のブレンダン・マッケイ投手兼一塁手の登場で、二刀流誕生の機運は一気に高まった。

 大学1年時代は投手として9勝3敗4セーブ、防御率1.77。打者では3割0分8厘、4本塁打、34打点。大学2年時は投手として12勝4敗、防御率2.30。打者では3割3分3厘、6本塁打、41打点。この年に日米大学野球選手権のアメリカ代表として来日している。

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 大学3年時は投手として11勝3敗、防御率2.56 。打者として3割4分1厘、18本塁打、57打点を記録し、ジョン・オルルド賞に加えて、大学球界のMVP「ディック・ハウザー賞」、全米のアマチュア選手のMVP「ゴールデン・スパイク賞」など、取れる賞は総なめにした。

 大学球界一の二刀流として、2017年のドラフトでタンパベイ・レイズから1位指名、全体でも4位となる高評価を受けてプロ入りを果たす。契約金も破格の700万ドルだった。17年ドラフトでは、コミッショナーのロブ・マンフレッドが「一塁手、ブレンダン・マッケイ」と読み上げた際に、レイズは「投手兼一塁手」と訂正した。指名当時のGMエリック・ニアンダーは、「野手としても投手としても、最高の素質と実力を持っている。我々は二刀流としてチャンスを与えるつもりだ」とコメント。大谷翔平が二刀流としてMLBデビューを飾る1年前のことである。

 1965年に導入された現行のドラフト制度で、二刀流の可能性がある選手がドラフト全体5位以内に指名を受けたのは、73年ドラフトでパドレスが全体4位で指名したデイブ・ウィンフィールド以来である。当時のウィンフィールドは、MLB以外にも、NBAのアトランタ・ホークス、NFLのミネソタ・バイキングスからドラフト指名を受けたスーパーアスリートである。プロ入り後、外野手専任として活躍したウィンフィールドは、実働22年間で3110安打、465本塁打を記録して2001年に殿堂入りを果たしている。

 ドラフト指名直後、マッケイは「投げることも打つことも大好きなので、プロでも二刀流を目指す。体調管理をしっかりできれば、両方でプレーできると思う」とコメント。GMのニアンダーは、「マッケイが、明確な意志と計画的なプロセスを持った初めての二刀流選手になる」と明言した。