昨年までは羽生結弦という絶対王者が存在した。宇野の活躍は、どうしても世間一般の注目を集めるには及ばなかった。メディアと世間は羽生選手が五輪で跳んだ4回転半ジャンプとその進退に注目していた。
その“絶対王者”はもういない。宇野は2022年シーズンを10月のジャパンオープンを皮切りにして、出場する大会すべてで優勝している。ただ、注目すべきはその実力だけではないという。
ゲーム好きでアスリートらしくない一面も
「実力も折り紙つきの宇野選手ですが、意外と知られていないのがその独特なキャラクターです。取材をするとその立ち振る舞いに独特な雰囲気を感じます。また、『日々の練習で上達することが大切』という考えを口にしており、大会の結果にあまり頓着していないようなのです。アスリートであれば“上達”をめざすのは当然ですが、あまりにも順位に一喜一憂しないので、変わってるなという印象を受けます。
また、宇野選手と言えばゲーム好きとして知られています。平昌五輪の試合後に『選手村では日本にいるときよりゲームができて満足でした』と発言したのが話題になりました。こういったアスリートらしくない一面も知られれば親近感を持つ人も多いのではないでしょうか」(前出・スポーツ誌ライター)
実力も人間的な魅力も兼ね備えている宇野。スターになるには何が必要なのか。
残りの競技人生について、具体的な発言はまだない
「今ではあれだけ人気になった羽生選手も一般に注目されたのはソチ五輪の金メダルを取ってからでした。宇野選手は今も成長を続けていて選手としてのピークはこれから。2026年のオリンピックで金メダルを取れば、実績と独特なキャラで一躍スター選手に躍り出る可能性もあるでしょう」(同前)
しかし、宇野は既に25歳。選手としてのピークを他競技よりも若い時期に迎えるフィギュアスケート選手としてはベテランといえる年齢に達している。
「いつやめるか、どの大会を区切りにするのか、といった具体的な発言はいままでありません。おそらく、明確な考えはないのではないでしょうか。ただ、『現役はあと数年かもしれないし、昔に比べれば、残りの競技人生は長くないと思う』といった内容の発言をしていたことがあり、本人も競技人生が少なくなりつつあることを自覚しているようです」(同前)