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《天才の仕事》「シャープペン1本で描きました」ホラー漫画家・山咲トオル(53)の画力がスゴすぎた

元祖オネエ・山咲トオルインタビュー #3

2023/03/29

genre : エンタメ, 芸能

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 タレントとして目覚ましい活動を経たのち、一旦は芸能活動を「お休み」した山咲トオルさん。活動休止中は、いったいどこで何をしていたのか?

 インタビュー3回目では「お休み期間のこと」や「これからの夢」について話を伺った。(全3回の3回目/#1#2を読む)

なぜタレント活動の第一線から離れたのか? ©平松市聖/文藝春秋
なぜタレント活動の第一線から離れたのか? ©平松市聖/文藝春秋

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なぜ突然、活動休止したのか?

――トオルさんはテレビにたくさん出てお忙しい時期が長かったそうですが、そこからご自分の意志で休養に入ったそうですね。そうした理由は何ですか?

山咲 いろいろ小さい理由の積み重ねもあるんでしょうけど、やっぱり単純に「目覚まし時計をかけないで寝て暮らしたい」という気持ちがあったんですよね。あと、これは完全にわがままだし、ないものねだりなんですけど、「絵が描きたい」っていうのもありました。

――テレビに出るようになってから漫画のお仕事はしていなかったんですか?

山咲 最初は1ヶ月のうち15日は漫画を描く期間で、15日は芸能のお仕事をしようね、っていう話だったんですけど、忙しくなってきたらそんなの無理じゃないですか。

 もちろん、テレビのお仕事を断ることもできたんですけど、これに出ることによって次の仕事につながるっていうのがわかっていたら、断れないですよね。

 最初の1年は寝ないで漫画を描いていたんですよ。でも、それで目の下のクマが取れなくなっちゃって、そこで編み出したのがテンガロンハットだったんです。

――そこからなんですか!

デビュー当時は「テンガロンハット」がトレードマークだった(写真:本人提供) 

山咲 上からの照明でハットの影がクマと重なるからバレない、っていう。テレビに出る前にテンガロンハットなんてかぶったことないし。

仕事を休んでいる間に個展を開催

――そうだったんですね。

山咲 でも、出版社の方は本当に良くしてくださって。「トオルちゃん、テレビはいつか終わるよ、せいぜい1年だよ。だから、今はそっちを一生懸命にやりな。感性が死ななければ漫画はいつでも描けるから」って言われたんです。

 あと、寝ていないと記憶が頭に定着しないんですよ。若くないからというのもあったのかもしれないけど、東京のテレビ局でふと「あれ? 私、朝は仙台にいたよね? おかしくない?」みたいなこともあって。

――仙台にいたと思ったらもう東京だった、と。怖いですね。

山咲 昨日と今日の境界線みたいなものがなくなっちゃって。私が移動時間にすぐ寝落ちできる子だったら良かったんですけど、寝られなかったですからね。

――お休みを取られた時期は長かったんですか?

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