俳優の鈴木亮平がきょう3月29日、40歳の誕生日を迎えた。鈴木といえば、どんな役にもなりきってみせる演技の幅の広さに定評がある。
役づくりのためには、肉体改造にも努力を惜しまない。2015年にドラマ『天皇の料理番』で佐藤健演じる主人公の兄を演じた際には、結核にかかって徐々にやせ衰えていくさまを表現するため、体重を76キロから段階的に落とし、最終的に56キロまで減量した。6話ぐらいで、長身の鈴木とくらべると小柄な佐藤の体重を下回ったときには、「よし!」と思ったという(『週刊朝日』2015年6月12日号)。
さらに『天皇の料理番』を撮り終わったあとにクランクインした主演映画『俺物語!!』では、大柄な高校生を演じるため、今度は87キロまで体重を増やす。前の役との体重差はほぼ30キロ、しかもわずか40日間で増量したとあって話題を呼んだ。
『変態仮面』でも体を鍛えながら待ち続けた
それ以前に主演した映画『HK/変態仮面』(2013年)でも、紆余曲折あってクランクインが遅れるなか、鈴木は原作マンガの主人公を忠実に再現すべく、その間ずっと体を鍛えながら待ち続けたというエピソードが残る。その後、大河ドラマ『西郷どん』(2018年)で西郷隆盛を演じたときも、スマートだった青年時代から恰幅のいい晩年まで、体重を自在に増減させて演じきった。
『俺物語!!』や『変態仮面』を含めマンガ原作の映像作品への出演も多く、その再現度には毎回驚かされるが、鈴木に言わせれば、《形から入っているという意識はあまりないんですよ。むしろ漫画原作のほうが、内面をちゃんと捉えて演じないと危険だなと思っている。形があるからこそ、内面をおろそかにすると一気に崩れる怖さがあるので》(『GALAC』2017年3月号)。
そもそも役づくりに関して体の話ばかり注目されるのは、彼としては必ずしも本意ではないようだ。《僕は精神と肉体、その両方が混じり合っての人間であって、そこを分けては考えていないんですよね。そのどっちをもできるだけ役に近づけるのが俳優の仕事だと思っているので》というのがその理由だ(『anan』2016年3月9日号)。
役へのアプローチとしては徹底したリサーチも欠かせない。演じるのが歴史上の人物であれば関連書を読みこむのが常である。ただ、『西郷どん』では、制作側には従来の西郷隆盛像を覆そうというもくろみがあったがゆえ、逆に「調べすぎないで」とプロデューサーから釘を刺されたとか(『文藝春秋』2018年4月号)。