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「第一印象は、ヤバい奴きた!」元キャリア官僚と元慶應ボーイの異色お笑いコンビ“イエスマン”「誕生のマル秘方程式」

genre : エンタメ, 芸能

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まつもと 最初は、「お笑いって面白そうだからやりたい」ではありませんでした。むしろ「仕事や自分の視野を広げるために利用してやろう」くらいの気持ちだったんです。他の職種も同じだとは思いますが、特にコンサルの世界は年齢が上がってくると、周囲と違いを出さないと生き残れません。なので、「どうやって自分を差別化しようか」と考えた時に、芸人との掛け合わせは意外性があって、営業の際などに有利になるなと思ったのが正直なところですね。ただ、お笑いに関わるようになってからは、どんどん比重がお笑いに傾いていき、いまはいいバランスになりつつあります。

©文藝春秋 撮影/上田康太郎

お笑いとコンサルは基本的に似ている

―― 一方のコメさんですが、慶應大学経済学部卒で、現在は大手損保会社のビジネスマンです。コメさんが芸人を目指している理由を教えてください。

コメ まつもとと同じで、仕事とは別のことをやってみたいと思い立ったからです。養成所に入ったのが28歳の時なのですが、自分のなかで「この歳くらいが、何かを選択するにはラストチャンスかな」という感覚がありました。転職して別の業界に行くとかいろいろな選択肢があったんでしょうけど、お笑いが好きだったというのが単純な理由です。それに、40~50歳代の芸人さんたちが、メッチャ楽しそうに騒いでいる姿っていいじゃないですか。一般人ならこの世代って、ただのオジちゃんですよ。ああいう歳の取り方をしてみたいと思ったのがきっかけです。

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――お二人にお聞きします。実際に養成所に入ってお笑い芸人を目指すなか、仕事で役に立ったことはありますか?

まつもと お笑いとコンサルは基本的に似ているんですよ。コンサル業界って、若い時はガリガリと死ぬほど働いて、自分の分析力をアピールすることに必死です。でも、シニアになればなるほど、お客さんの心を掴み、お客さんが何を欲しているのか、時にはお客さんですら形にできていない思いを見つけ出して、それに対してバシっと答えていく、みたいなところが本質的に求められてくる。これって人を笑わせることと一緒なんですよね。もっと言えば、プレゼンの資料を作るのも一緒です。テーマを決めて、どのように表現すれば伝わるのか、順番はこれでいいのか、とか基本的な発想がネタ作りに通じています。

コメ 初対面での話の取っ掛かりに「芸人やっています」と言うと、すごくウケがいいですね。すぐに覚えてくれますし、距離が近くなる感じはあります。ただ、それで仕事の成績が上がったかというと……ノーコメントでお願いします(笑)。

コメ ©文藝春秋 撮影/石川啓次

「絶対僕たち商品価値が出てくるから!」と言ってくるヤバい奴

――お二人は15歳差です。まつもとさんが「コンビを組もう」と申し出た際、コメさんは一度、断ったと聞きました。やはり、ネックだったのはまつもとさんの年齢ですか?

コメ いえ、年齢ではないんです。第一印象は「ヤバい奴、来た!」でした。

――どういうことでしょう?

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