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「第一印象は、ヤバい奴きた!」元キャリア官僚と元慶應ボーイの異色お笑いコンビ“イエスマン”「誕生のマル秘方程式」

genre : エンタメ, 芸能

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 異色のお笑い芸人コンビがいまデビューに向けて最終試練を迎えている。ボケを担当するのは「元官僚芸人まつもと」、ツッコミは「コメ」。まつもとは京都大学卒で総務省のキャリア官僚だった過去を持ち、コメは慶應大学経済学部卒で現在は大手損保会社勤務のビジネスマンだ。松竹芸能の養成所にコメは2021年10月に、まつもとは2022年4月に入所し、2022年9月にコンビ「イエスマン」を結成した。そして3月31日、彼らには、正式に松竹芸能に所属できるかが公開ライブで決まる“査定”が待ち受けている。

 政治家に頭があがらない小役人のイメージを逆手にとったコンビ名や、元官僚を前面に押し出すまつもと、そして高学歴ビジネスマンのコメ。これまでの芸人のイメージからはかけ離れた社会人コンビは果たして夢を掴むことができるのか。デビューを前に、お笑いの世界に飛び込んだワケからネタ作りの難しさ、ウケたときの抗いがたい快楽まで、これまでの軌跡を辿る。(#2を読む)

2月11日に開催された養成所生ライブでネタを披露するまつもと(左)とコメ ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

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放送法改正や日本航空再生スキーム作りに携わったまつもと

――元官僚がお笑いの世界を目指すというのは珍しいケースですね。まつもとさんが芸人になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

元官僚芸人まつもと(以下、まつもと) 僕はこれまでいろいろな仕事を経験してきました。総務省に入省して、それから9年間のほとんどを霞が関で過ごしているのですが、総務省だけでなく、財務省や内閣官房、岩手県庁への出向を経験しています。

 総務省では放送法の法律改正をはじめ、通信放送の政策づくりに関わりました。財務省では会見用の大臣コメントを作ったり、2010年に日本航空が経営破綻した際には再生スキーム作りに携わったこともあります。岩手での勤務は東日本大震災の前でしたが、大震災のときはかつて僕の前に座っていた職員の実家が流されたと聞きました。

まつもと ©文藝春秋 撮影/石川啓次

厚切りジェイソンの存在が芸人を目指すきっかけ

 その後、コンサル会社で5年、ベンチャー企業で3年、仕事をするなどして、現在も経営戦略系のコンサルに勤務しています。こうしたなか、「仕事で経験できることってもう8~9割くらい見てきたのかな。今まで全く経験したことのないことをやったほうがいいんだろうな」と感じるようになりました。

 それで、企業経営者でありながらお笑い芸人をやっている厚切りジェイソンさんの存在が思い浮かんだんです。全く違う2つの要素をバランスよく掛け合わせているなと思い、自分も同じようにできたら面白いんじゃないかって。しかも “官僚芸人”っていないじゃないですか。だから、自分が最初の存在になってやろうと思いました。

――バランスとしては、コンサルとお笑いはどちらの優先順位が高いですか?

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