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「官僚は国家の歯車ではなく、スペアのネジです」父は元NHKアナ、京大卒→総務官僚を経てお笑い芸人になった男が明かす「霞が関ブラック伝説」

genre : エンタメ, 芸能

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「官僚は国家の歯車ですらなくネジです。いや、スペアのネジでしたね」

 こう振り返るのは「元官僚芸人まつもと」だ。まつもとは京都大学卒でかつて総務省のキャリア官僚だった。しかし、やりがいを感じることができずその華麗な経歴を自ら捨てた。現在は経営戦略系コンサルで働きながら、お笑い芸人になることを夢見ている。コンビを組むのは慶應大学経済学部卒で大手損保会社勤務のビジネスマン「コメ」。二人は昨年9月に高学歴コンビ「イエスマン」を結成し、松竹芸能の養成所でデビューに向けて日々もがいてきた。そして3月31日、ついに松竹芸能に所属できるかが決まる公開ライブでの“査定”が行われる。異色の社会人お笑いコンビは4月から「芸人1年目」を迎えることができるのか。デビューを前に、2人の素顔とコンビ名「イエスマン」の由来を聞いた。(#1を読む)

まつもと(左)とコメ ©文藝春秋 撮影/石川啓次

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小学校時代はガキ大将に取り入る“イエスマン”

――まつもとさんはどんな少年時代を過ごしていましたか?

元官僚芸人まつもと(以下、まつもと) 僕の父は元NHKのアナウンサーで転勤族でした。小学校は札幌の学校に入学し、大阪を経て、長崎で卒業しています。大阪では関西弁が話せずにいじめられましたが、数年後にはガキ大将に取り入ることに成功しました。

――小学生時代から長いモノに巻かれる“イエスマン”だったということですか?

まつもと 求められているものに対して何らかの答えを出すとか、気に入られるように振る舞うとか、基本的な発想は“イエスマン”なのだと思います。ただ、僕の場合は、官僚に嫌気が差して辞めてしまったし、今では芸人を目指しているので多少跳ね返っているところはありますね。

2月11日に開催された養成所ライブでネタを披露するまつもと(左)とコメ ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

オーケストラを続けるため、なぜか女子体操部に入部

――小さい頃から運動神経が悪く、小学生時代の体育の成績は10段階で「2」だと聞きました。にもかかわらず、中学時代に体操部、しかも女子体操部に入っています。これは一体、どういうことですか?

まつもと 意味がわからないですよね。クラスの担任が女子体操部の顧問だったんです。当時の僕はオーケストラに打ち込んでいて、学校の部活には入っていませんでした。運動神経が悪く、虚弱体質だったので、健康診断か何かの場で身体を鍛えなさいと言われたところ、担任が「うちの部活に入りなさい」と。「いやいやいや」と相当抵抗したのですが、担任と仲の良かった母親が出て来て「女子体操部に入らなければオーケストラをやめさせる」と迫ってきたんです。オーケストラには初恋の女の子がいたので、やめたくなくて仕方なく入部することにしたんです。

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