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役人は「国家の歯車」ではなく「スペアのネジ」

――官庁は“ブラック”とよく言われますね。

まつもと 仕事の実質的な忙しさに加え、やりがいを感じることが少ないという点も役人の士気を下げる原因です。役人はよく「国家の歯車」と揶揄されますが、歯車なんかじゃないですよ。「ネジ」です。いや、「スペアのネジ」ですね。どんなに志はあっても国家の前で一個人の存在はあまりにも無力です。自分が何をしているのか、何のためにここにいるのか分からなくなってしまいました。

 総務省を退官してからは、コンサルに転職しました。その後はベンチャーに行ったり、アニメ製作なども手掛けました。でも、ベンチャーもアニメ製作もうまくいかずにトラブルも多かったです。巡り巡っていまは経営戦略系のコンサルに戻っています。芸人になってまたステージを変えていきたいです。

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©文藝春秋 撮影/上田康太郎

イエスマン=アジャスト能力が高い?

――ありがとうございました。一方で、コメさんは千葉県で生まれ育ち、小学校でミニバスとサッカーを経験しています。中学で軟式野球、高校で硬式野球、慶應大学ではセーリング部に所属していました。「ザ・体育会系」といった来歴ですが、振り返ってみていかがでしょうか?

コメ まさに体育会のノリのなかで成長して来ました。「イエスマン」というとどうしても官僚だったまつもとにちなんで付けられたコンビ名だと思われがちですが、本当は“僕由来”なんですよ。僕が養成所の授業中に「僕、イエスマンなんです」と話したことがあったんです。それをまつもとが覚えていて、「二人ともサラリーマンだし、これで行こう」と決まりました。

鼻フックをされるコメ(奥) ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

――なんでもかんでも「イエス」というのは辛くないですか?

コメ 基本的に先輩から言われたことは「イエス」という環境で生きて来たので、無理難題でも聞いてしまいます。むしろ断るのが面倒くさいんです。この前も先輩と飲んでいる最中に、親父とLINEでやりとりしていたら、先輩が「親父を呼べ」と。「本当に呼びます?」と聞いたら先輩が頷くので、親父に「いま先輩と飲んでるんだけど来る?」とメッセージを送ったら、親父が「行く」と言うんです(笑)。結局、親父がやってきて一緒に飲みました。イエスマンの親父がイエスマンの息子を産んだみたいなものでしょうか。ただ、無理はしていません。それが自然にできてしまうんです。

2月11日に開催された養成所ライブの人気投票で「イエスマン」に票を入れる女性客 ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

まつもと コメはその場にアジャストする基礎的な素養がかなり高いんです。そのバランス感覚が優れているから、いい相方だと思っています。

――最後に31日の査定を通る自信はありますか?

まつもと・コメ 答えはもちろん、イエスです!