2023年2月2日から、中学受験界隈のSNSが「芝国際」というキーワードで荒れた。

〈終わった。芝国際を第一志望にしてしまったことで、すべての努力が無駄になった〉

 

〈芝国際、さすがにこれは酷い。アパレルや飲食店でわざと供給絞って人気ぶりをアピールする手法はよくあるけど、生身の受験生でそれやるとか論外。この学校を信じて応募したのにこんなくだらないマーケ仕草の犠牲になった1000人以上の子供たちに、2月の1日と2日を返してあげて〉

 

〈芝国際中学校がコンサルとメディアに持ち上げられ開校→発表遅延,出題ミス,偏差値吊り上げの被害で死屍累累の最悪の入試に-メディアとコンサルに踊らされ人生を狂わされた中学受験生が悲痛の叫び〉

 芝国際とは、2023年4月に開校する芝国際中学校・高等学校(東京都港区)のことである。

 1903年創立の東京女子学園を改名し、共学化。学校説明会で、グローバル教育もデータサイエンス教育も起業家教育も放課後予備校もやるとアピールすると、定員120人に対してのべ4681名の出願者を集める人気を博した。

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 この学校に一体何が起きたのか?

12階建ての新校舎にはインターナショナルスクールも同居する(公式サイトより)

「偏差値を上げるために子どもを落としたと見られてしまっても仕方がない部分がある」“人気校”に何が…?

 2月1日から5日にかけて行われた同校の入試は、合格発表遅延、出題ミス、不合格者もいる横で合格証授与、試験終了後の大混乱による受験生親子足止めなど、トラブル続出だった。

 しかし炎上の本丸は、入試直前の1月28日まで、クラス数増の可能性も匂わせながら「合格者はたくさん出す」「合格はかなり多く出す」などと説明会でくり返していたにもかかわらず、蓋を開けてみると合格者は少なく、異常な倍率になったこと。

 例えば、最も受験者が多い「Ⅱ類(特進クラス)」の倍率は、2月1日午前が約30倍、午後が約36倍、2月2日午後が27倍だった。国際生の「CORE」クラスにいたっては、2月1日午前の合格者が0名だった。

 ある中学受験塾幹部は「多くの子どもたちが不合格に泣き、他校を受ける機会を逃してしまったことは、想定が甘かったとして、受験生側だけに責任を押し付けてしまってよいものか、疑問に感じます」と訴える。

学校パンフレットは“真の国際人”育成をうたう(芝国際中学校・高等学校パンフレットより)

 ある業界関係者は「偏差値を上げるために子どもを落としたと見られてしまっても仕方がない部分がある」と指摘する。どういうことか。

「大量の不合格者」と引き換えに生み出されるもの

 入試回数や種類をたくさん設定し、それぞれの定員を絞り、できるだけ多くの受験生をかき集め、一部の成績優秀層にだけ合格を出せば、見た目の結果偏差値は高く算出される。偏差値的には一躍人気進学校の仲間入りだ。