特に今回の芝国際の場合、入試の種類はぜんぶでなんと50種類。1回の定員が5名、10名という入試が並び、しかもそれぞれのなかに、4教科、2教科、1教科、適性検査型などの種類があり、ほかの枠へのスライド合格もあるという複雑怪奇なものだった。
大量の不合格者と引き換えに、いわば「バブル偏差値(※https://bunshun.jp/articles/-/9563)」のできあがりなのである。
騒ぎを受けて、2月下旬、理事長の命で校内に入試検証委員会が立ち上がる。その内部資料「検証結果報告書」を入手した。ネットで集中的に批判を受けた次の6点についての検証結果が述べられている。
(1)2月1日の合格発表遅延
(2)2月2日の出題ミスおよび1日、3日、5日の問題訂正
(3)受験生待機場所の隣で合格証授与が行われていたこと
(4)たくさん合格を出すと言っていたのに実際には少ないこと
(5)いちど公表した入試結果速報を非公開にしたこと
(6)試験終了後、受験生と保護者の引き合わせに多大な時間を要したこと
(1)(2)はあってはならぬことではあるが、毎年どこかの学校で起こるミスではある。(3)(6)は校舎が建設中であったための動線設計ミスとのこと。報告書では多くの紙幅を(4)にあてている。(5)はそれに付随する二次的な問題だ。
報告書は、「以上のように、帰国生入試では“たくさん”の合格者が出たが、2月入試では一般的に言っても“たくさん”というにはほど遠い数字であることがわかる」と総括している。
「今年の芝国際の入試は、入試で考えられる『ミス』がすべて出てしまった入試であった」
近年、女子校から共学化して校名も変えて人気校の座に躍り出た例としては、広尾学園小石川(旧・村田女子)、三田国際(旧・戸板女子)、かえつ有明(旧・嘉悦女子)が有名。前年度まで定員割れしていた3校だが、リニューアル初年度の一般生入試では、定員の3.5~4.7倍の合格者を出している。芝国際の“たくさん”を聞いて、中学受験に詳しいひとほど、これらの数字を思い浮かべたはずだ。しかし実際には、一般生の定員85名に対して合格者は159名で、定員の1.9倍だった。
先述の報告書によれば、2023年度の入学者数は2月17日の時点で、国際生クラス57 名(11月・12月入試53 名、2 月入試4名)、一般生クラス79 名、合計136 名。国際生は定員35名よりも多いが、その大半は昨年11月・12月に行われた帰国生向け入試からの入学。一般生は定員85名を満たしていない。