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 今回さらに、クラス編成がわかる内部文書を入手した。Ⅰ類の募集定員60名に対して57名、Ⅱ類の募集定員25名+若干名に対して17名の入学者しかいないことがわかった。

4つのコース・クラス別の入学者数がわかる内部文書

 報告書の最後には「今年の芝国際の入試は、入試で考えられる『ミス』がすべて出てしまった入試であった」とも記載がある。これらが偶発的なミスではなく、構造的に起きたミスであったことを示唆する証言が、複数の学校関係者から得られた。

学校アドバイザーが検証委員会委員長を担った

「入試問題の多くは外注作成で、入試当日に初めて問題と模範解答を見て記述問題の採点作業に関わった教員もいました」

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短すぎる準備期間が招いた混乱

 4月以降の体制についても不透明だという。

「高校入学者が多かったため急遽4月から教員を増やす必要がありました。一部では、教員免許をもたない塾講師が特別非常勤講師としてやってくる予定です」

「実績がないのに、説明会では、あれもこれもやると大風呂敷を広げていました。あのときの説明通りだったと満足してもらうためには、かなりの難しさがあると思う」

 そもそも共学化は急転直下に決まったことで、もともと新校舎は1学年100人規模の女子校として設計されていた。各フロアのトイレは個室ばかりで男子用小便器はごくわずか。教室で着替える前提だったから更衣室もない。

 私立中高一貫校に詳しい教育関係者は、「このような事態を生じさせないため、開校準備には2年以上をかけて周囲の反応を確かめるのが常識。今回の芝国際のやり方は、中学入試や私学経営のあり方として、検証されなければいけない面がある。いくら出願者が急増して偏差値が一気に上がったとしても、これを『成功』としてはいけない」と指摘する。

 受験生の不利益になりかねない複雑な入試制度について自主規制を求める可能性はないのか、東京私立中学高等学校協会に見解を求めた。

 あくまでも事務局長個人による非公式な見解として、「現在具体的な議論はないが、都内私立中学校全体の信頼性に影響をおよぼすような状況が懸念される場合は、協会内で申し合わせを検討する可能性があります」と回答があった。

 いわずもがな東京女子学園在校生や芝国際新入生に罪はない。彼らの愛着と期待には誠意をもって応えてほしい。まずは批判への真摯な対応と積極的な情報開示がその試金石になるはずだ。

直撃に対し、校長の答えは…

 3月16日、山崎達雄新校長を直撃した。取材前日には学校HPに、芝国際が塾の模試会場として使用されたことを報告する記事が掲載され、その中に「2月の入試ではご迷惑をおかけすることがありました」との記述があり、入試結果の概要へのリンクも張られていた。以下、新校長の発話から要点を抜粋する。