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県立高校で「コーンロウで卒業式“隔離”」報道…黒人ミックスの作家が語る、当事者にとっての「髪」の意味

2023/04/03
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若い世代に同じ体験をさせてはいけない

 DNAのルーツが何処であれ今この瞬間に日本社会の一員として生きる者が胸を張って生きてゆける社会にしなければこの国に未来はない。 

 悠久の時の中で様々な土地から来たご先祖様達がこの日本の島々の土地を踏み豊かな文化を形成していった事を踏まえて、これからの日本を如何によりよくしていくかを国民全員で考えるべきだ。 

 積極的に意見を表明する者などは和を乱す者としグループに必要無いとするのは、勤勉な日本人をうつや自殺に追い込む悪しき風習だ。私は真面目で勤勉な日本国民にこれ以上死んでほしくない。 

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 出る杭は打たれる。異質な杭に至っては出るまでもなく打たれる社会に真の多様性が訪れるとは思われない。 

※この画像はイメージです ©iStock.com

 我々人類に必要なモノは少しの想像力と赦しだけだ。その相手がもし自分の愛する我が子であったならどう感じるのかを想像してみてほしい。それに尽きる。 

 正直言って、私自身は自分が健全な日本人として一生を全うできる事をもはや期待してはいない。私はただ日本を愛し死んでいきたいだけだ。しかし現代の若い子たちに自分と同じ経験をしてほしいとは決して思わない。大人たちがこういった問題に真剣に向き合ってよりよい日本にしていかなければならない。 

 私はいかに非力であろうともよりよく生き、この愛する日本の地に骨を埋めたい。この褐色の肌の下に流れる血と肉と骨を埋めたその土地が、よりよくより美しい新時代の日本が建設されるその礎になる事を、ただ痛切に願うだけだ。 

僕という容れ物 (立東舎)

僕という容れ物 (立東舎)

檀 廬影

立東舎

2019年4月19日 発売

県立高校で「コーンロウで卒業式“隔離”」報道…黒人ミックスの作家が語る、当事者にとっての「髪」の意味

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