自治会の会計担当という立場を悪用し、数十万円を横領して逮捕された千葉県木更津市の無職、小川順也容疑者(37)。自ら110番通報して横領を供述したほかにも、「15年ほど前に、同居していた小中学校の同級生の男性を殺害して埋めた」と告白していた。その言葉の通り3月29日までに、自宅の庭から白骨化した遺体が見つかっている。
4月12日、この遺体が小川容疑者の小中学校の同級生である須藤秀平さんであると判明した。社会部記者が解説する。
「須藤さんの遺体には、頭部などに何か鈍器で殴られたかのような骨折の跡がありました。骨折や圧迫された痕跡は全身に複数あり、須藤さんはかなり激しい暴行にあった可能性が高いとみられます。小川容疑者は横領と同様に、殺害についても素直に取り調べに応じており、須藤さんとの間に『トラブルがあった』と供述し、容疑を認めています」
須藤さんと同居していたという小川容疑者。なぜ事件は起きてしまったのか。その背景には、家庭のことで苦労していた小川容疑者に対し、追い討ちをかけるようにタカりを繰り返していた須藤さんの姿が見え隠れする――。
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建物が朽ち、庭の草は伸び放題「生活は辛そうだった」
遺体発見現場となった小川容疑者の自宅は、建物が朽ち、庭の草は伸び放題で手入れが行き届いていない。荒廃した生活を送っていたことをうかがわせるが、近隣住民によれば「生活は辛そうだった」という。
「順也くんは幼少期にはおじいさんの農作業を手伝うなど、とても家族思いの少年でした。非常に口数は少ないですが、大人になっても礼儀正しくて、自治会や寺の檀家、消防団の活動など、地域のためにしっかりとやってくれていました。老人ばかりのこのあたりではとても頼りになる存在でした。
ただ、家は荒れていて、過去には生活保護を受けていたこともあり、障害のあるお母さんと妹さんがいたので生活は辛そうでした。だから、横領と初めて聞いた時は『ついに手を出しちゃったか』という思いでしたが、まさか殺人を15年前にやっていたとは…。信じられません」(近隣住民の女性)
同級生が高校や大学で青春を謳歌していた10~20代の頃、障害があった母親に代わって、同じく障害のある妹の面倒をみていた小川容疑者。現在、母親と妹は施設に預けられているというが、長い間、“ヤングケアラー”として家族のために尽くしていた。しかし、そんな小川容疑者の献身をよそに父親の生活は荒んでいたという。