「順也のおじいさんが存命のころには一家は裕福だったと思いますが、おじいさんが亡くなると、お婿さんだった順也の父親が酒浸りになって、カネを浪費してしまった。父親はもともと大工でしたが、仕事もせずに、酒ばかり飲んでいた…。あるときは、飲み屋かどこかで殴られて、大きなけがをして入院したこともある。家庭は大変そうでした」(別の近隣住民の女性)
小川容疑者宅の困窮の最も大きな要因は、須藤さんが“転がり込んで来た”ことだったようだ。そんな2人は小学校からの知り合いだ。小中学校の同級生の母親が振り返る。
須藤さんの衣食住のために1000万円も支出
「順也くんは、幼少期はうちの子とも外に行ってキャッチボールをしていました。彼はとても手先が器用な子でね。トラクターを小学生で運転したり、子供会では太鼓が上手で褒められたりしていました。一方で、彼はいじめられたりはしていないけど、確かに人付き合いは苦手なタイプだったのかもしれません。とにかく大人しいので…。そして、仲良くなったのが須藤くんのようです」
地域の児童養護施設に預けられていた須藤さん。評判はあまりよくなかったという。
「粗暴な子だったので敬遠する同級生が多かったね。そんななか、順也は付き合っていたんです。でも本当の友達というわけではなく、気の弱い順也は恐喝みたいなことをされていたんでしょうね。中学を卒業すると、順也は、施設を出た須藤さんの衣食住を肩代わりしていたようです。おじいさんが生前に、『順也が友達に1000万円も使ってしまった』と嘆いていました。家が傾いたのは、お父さんが酒浸りの生活を送っていたことも影響していたんでしょうけど、須藤さんに対する支出が一番の原因だと思いますよ」(前出の近隣住民女性)
かつて須藤さんが宿泊していたという市内の旅館を訪ねると、「確かに20年前に児童養護施設を出たばかりで、東京かどこかに就職した子が、『こっちに友達がいるから泊めさせてくれ』とよく来ていました」との証言が出てきた。
1000万円近くも小川容疑者にタカっていた須藤さんだが、まだ少年だったころは他の子どもと同じようにピュアな一面もあったようだ。卒業文集には「将来の夢」をこう綴っている。