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「地域の人たちも彼に甘えすぎていたのかも」

「ぼくの夢は、サッカー選手です。(中略)留学して、ぼくは、ブラジルでサッカーの練習をつみます。日本にもどってきたら、Jリーグに入ります。特に一番入りたいチームは、鹿島アントラーズです。(略)」

小学校の卒業文集に書かれた須藤さんの「将来の夢」

 一方の小川容疑者も「ぼくの夢」というタイトルでこう語っている。

「ぼくの夢は大工か建築家になることです。お父さんは、りっぱな大工です。大工になるためには、高校を卒業して、五年間専門学校に行きます。その後三年間、師匠に弟子入りをします。それから、お父さんについて、いろいろな人の家を建てます。自分の家も自分で造りたいと思っています。この馬来田で、僕が造った家が、どんどんふえていくようにしたいです」

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小学校の卒業文集に書かれた小川容疑者の「ぼくの夢」

 そんな小川容疑者に対し、近隣住民らは「大変だというのは分かっていましたが、あえて本人には家族のことは聞けなかった」、「本人は辛かっただろうに、酒浸りだったお父さんや障害のあるお母さんと妹さんのこと、須藤さんとの悩みなどを口にしたことを聞いたことがありません」などと唇を噛んだ。

 前出の同級生の母親も涙ぐみながらこうこぼしている。

「順也くんは頼れる家族もいなくなり、最近では笑うことなんてなかったんじゃないかな。地域の人たちも彼に役員などいろんなことを押しつけて、甘えすぎていたのかも知れません。それでも不満を誰にも何も言わなかった。こう言ってしまうのは変だけど、やっと少しほっと出来ているんじゃないでしょうか」

 全身が骨折していた須藤さんの遺体の損傷度合いが物語っているのは、小川容疑者の“心の決壊”なのか。15年目の懺悔によって真相究明が始まった。