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「辞めろ」「辞めない」の応酬で泥沼に…高市早苗の「放送法文書」騒動で、見落とされている“問題の本質”

「辞めろ」「辞めない」の応酬で泥沼に…高市早苗の「放送法文書」騒動で、見落とされている“問題の本質”

2023/04/04
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 新聞各紙は安保政策の歴史的転換という事案に目が釘付けになっていたのだろうか? しかし今から考えると高市氏が3日前に「政治的公平」についての解釈答弁をしたこの時期はまさに第2次安倍政権が安保関連法という、国論を二分する政策を進めていた時期と重なる。

《政権が政策のスムーズな遂行のために放送局に「横やり」を入れようとした印象が拭えず、さらには「放送の自由」の脆弱さも露呈した形だ。》(毎日新聞2023年3月25日)

「目障りなキャスターはいなくなる」

 高市氏の答弁の意味が見事ににじみ出ている。さらに翌年、今度は高市総務相は「電波停止」発言を放つ。翌日の新聞を調べてみたら、

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『総務相、電波停止に言及 公平欠く放送と判断なら』(朝日新聞2016年2月9日)

 朝日は一面で報じていた。さらに同日の夕刊の「素粒子」という短文コラムに目が留まった。

『憲法の言論、表現の自由を知らない。目障りなキャスターはいなくなる。次はと、総務相が電波停止を口にする』(2016年2月9日)

 ここでいう「目障りなキャスター」とは、約1カ月後の3月末に降板が決まっていた「NEWS23」岸井成格、「報道ステーション」古舘伊知郎、NHKの「クローズアップ現代」国谷裕子ら各氏のことだろう。

 一体この時期に何があったのだ? こうして過去記事を時系列に並べただけでもすごい。どんな関連があったのか、なかったのか、もっと知りたくなる。政治家が議論できないならやはり各メディアが検証したほうがいい。

「辞めろ」「辞めない」の応酬で泥沼に…高市早苗の「放送法文書」騒動で、見落とされている“問題の本質”

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