その「議題」自体はとても重要なのに登場人物のおかげで吹き飛んでしまうことがある。

 放送法の「政治的公平」の解釈変更をめぐる総務省の行政文書の件がそれだ。当時、総務相だった高市早苗氏の参院予算委員会での答弁ぶりには自民党からでさえ冷たい視線が注がれたという。参院自民党幹事長・世耕弘成氏は「彼女には愛想が尽きた。私はかばってきたんですが…」と述べた(四国新聞4月2日、田崎史郎氏のコラム)。

高市早苗 ©JMPA

 田崎史郎氏は高市氏の主張がもし正しいとしても《高市がここまで頑迷になると、首相になった時どうなるか、不安に駆られる》と書いている。あの田崎氏に「不安」と言われているのだ。

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立憲・小西議員のツイートにも問題が

 一方で文書を公開して追及していた立憲民主党の小西洋之参院議員は、憲法審査会を巡る自身の発言を報じたNHKとフジテレビについて、「(総務省)元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」とツイッターに投稿した。小西氏は今まで「政治家と放送法」の何を問うてきたのだろう。

 高市氏も小西氏も今回は自分に仕掛けられた情報戦と思っているのかもしれないが、政治家で大事なのはその後の振る舞いでもある。両者はどちらも酷い対応で(それが情報戦だとしても)まんまと事態を大きくし、大事な議題が吹き飛んでしまった。

本当に議論すべきポイントは

 今回本当に議論されるべき部分はどこか。高市氏の「過去の答弁」だけでも検証のし甲斐があるはずだ。高市総務相は2015年と2016年に次のことを公の場(国会)で言っていた。