「高い、お金がないからダメ」と美容室に行かせてもらえず
両親が関心を持たないのは、服だけではなく、髪型もでした。
私は幼い頃から髪を伸ばすことを許されず、おかっぱ頭で、さらに襟足(えりあし)はバリカンで刈り上げられていました。サザエさんの「ワカメちゃん」のような昭和風な感じです。
私は髪を伸ばして三つ編みにしたりしたかったけれど、いつも父に「お前にはこれが一番似合うんだ」とざっくりと切られてしまうのです。それが嫌で仕方がなく、父に髪を切られるとき、私は「あんまり短くしないで」と頼んでいました。それでもいつも刈り上げられてしまい、終わった後は「ああ、今回も短くされちゃった。髪を伸ばせなかった」と悲しい気持ちになっていました。
学校では、髪型について同級生や上級生からもからかわれたりしました。
「髪にもっと切れ目入れたりとかしないの? 昭和っぽいよ」
そう言われることが恥ずかしくてしようがありませんでした。
小学校の同級生のお母さんが美容師をやっていて、その美容室へは学校の友達もカットに行っており、「私も切ってもらいたい」と母に頼みました。しかし、答えは「お父さんがいつも上手に切ってくれるでしょう」で、行かせてもらえませんでした。きょうだいも美容室に憧れていましたが、「高い、お金がないからダメ」と取り合ってもらえませんでした。
小学校5年生になると、私は自分で髪の切り方を覚えました。父に切られたくないので自分の髪は自分でカットし、中学生になると、きょうだいの髪も頼まれて私が切っていました。
ゴミ置きから拾った少年ジャンプ
我が家では毎月のお小遣いというものがなく、必要なものがあるときに母に言って、学校や生活に必要で安いものならば、母の許しがあれば買うことができました。それでも、「今月は本当に厳しいから出せない」と言われることも多々ありました。
お小遣いが欲しいということは、私もきょうだいも何度も母にお願いをしてきましたが、「うちはお金がないからお小遣い制はだめ。無駄なものを買うから。必要なものがあったらお母さんに確認して」と言われていました。漫画や雑誌、ゲームなどは「必要ない」と言われ、滅多(めった)に買ってもらえませんでした。
そんな我が家にも『週刊少年ジャンプ』や漫画本がいくつかありました。ゴミ置き場から兄が拾ってきたのです。昔から家にある何度も読み込んできた漫画と違って、新しい漫画が来たときは食らいつくように読みました。少年誌なので恋愛や性的な描写なども含まれるのですが、親に見つからないところで隠れて読みました。
そんな状況でも、家では「神の子」と教えられ、サタンである他の子たちとは違うと言われていました。
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