上層部は「恫喝」を知っていた
小森に対する取調べの録音録画反訳はもうひとつ、今回の捜査の問題点を浮き彫りにした。
2019年12月14日のデータには田渕検事の次のような発言が残っていた。
「実はね、このわたしと小森さんの取調べって、逮捕してるときから録音録画してるじゃないですか」
「そういうのを見ている人からするとですね、全員。別に大勢が見ているわけじゃないんですけれど、まあ見た人が言うにはね、わたしが小森さんにその供述を無理強いしているんじゃないか、っていうんですよ」
「わたしが最初の方、結構大きな声だして叱ったりしたじゃないですか」
「ただ、わたしの聞き方が、あなたに供述を強いているというか、そうだろってね、なんかこう押しつけているっていうか、誘導しているっていうか、無理矢理ね、あたかもね、ように見えるっていうことをおっしゃる方がいるみたいなんです」
大阪地検特捜部の上層部、すなわち捜査の指揮官である蜂須賀三紀雄検事や山本裕之特捜部長は田渕検事の異様な取調べの実態を知っていた。
わたしの有罪を立証するための欠かせない小森の供述は「無理強いし」「誘導して」取られたものだと認識していたのだ。
しかるに是正することも踏みとどまることもせず、わたしを起訴して裁判にかけようとしているのである。
問題の検察官と直接対決へ
検察庁の人事異動により公判担当が交代となり、4月8日の進行協議より末沢岳志検事が加わった。
山本さんが、
「本当にひどい取調べをされました。撤回しようとしても聞いてくれなかったんです」
と話していた検察官と法廷で顔を突き合わせて対峙することになるのだという。
田渕検事とともに、わたしを陥れる原因を作った男と直接対決できるのだ。
「やったろうやないか」
あらためて戦闘モードが高まってくる。