今なお世代を問わず愛される「仮面ライダー」シリーズ。その人気の一端には、一度耳にしたら決して離れず、魂を熱く揺さぶり続けるフレーズを数多く残す「主題歌」の存在があった。

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特撮番組における「主題歌」とは

 特撮ヒーロー番組における「主題歌」の効果は、いつの時代も絶大なものだ。作品の詳細は覚えていなくても、主題歌だけは今でもそらで歌える、という人も多いだろう。

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 初代『仮面ライダー』(71年)の主題歌「レッツゴー!!ライダーキック」もまた、多くの視聴者の記憶に深く刻まれている1曲だろう。

 ライダーの愛車・サイクロン号のエンジン音とともに高らかなブラスで始まるこの主題歌は、迫力あるサウンドと『仮面ライダー』の作中要素を凝縮した歌詞を兼ね備える名曲だ。

 

 第1~13話のいわゆる「旧1号編」では、本郷猛/仮面ライダー1号を文字どおり演じた藤岡弘自身が歌唱し、事故による藤岡の一時降板後の第14話以降は藤浩一(のちの子門真人)が、歌唱を引き継いでいる。

 アウトロで流れる、中江真司の「仮面ライダー、本郷猛は改造人間である……」という名ナレーションももはや伝説だが、こうした「レッツゴー!!ライダーキック」によるオープニング映像は、テレビ番組としての『仮面ライダー』の形式を見事に決定づけた。

 仮面ライダーは一大ブームを巻き起こし、以降50年以上の長きにわたり愛されるヒーローとなったが、この歌が人気に大きく貢献したことは間違いない。

初代『仮面ライダー』のオープニングを再現した映像では、『シン・仮面ライダー』で本郷猛/仮面ライダーを演じた池松壮亮が歌う「レッツゴー!!ライダーキック」が流れる

 2021年9月30日には、『シン・仮面ライダー』プロモーション映像として「レッツゴー!!ライダーキック」を使用した2種類の映像が公開され、大きな話題を呼んだ。初代『仮面ライダー』のオープニングを再現したこの映像では、新たに本郷猛/仮面ライダーを演じた池松壮亮が歌唱したヴァージョンが使用されている。