石ノ森による歴代主題歌の“特徴”
「レッツゴー!!ライダーキック」は、作品の音楽も担当した菊池俊輔が作曲し、作詞は石ノ森自身が手がけている。このコンビは主題歌が放送前に変更となった『仮面ライダーストロンガー』(75年)を除き、『10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!( 仮面ライダーZ X )』(84年)まで続いた。
石ノ森による歴代主題歌の歌詞には、各ライダーの根幹を端的に示すフレーズが盛り込まれ、ライダーにとって不可欠な要素である悪の組織の名前も効果的に配置されている。そのうえで、ライダーの技名やマシンの名前なども絶妙なバランスで入れ込まれ、番組の開幕を飾り続けた。
『仮面ライダーX』(74年)では、前作『仮面ライダーV3』(73年)でもエンディングを歌った「アニメソング界の帝王」水木一郎が主題歌「セタップ! 仮面ライダーX」を歌唱。
イントロでは水木の代名詞でもある熱く力強いシャウトで「セタップ」というX独自の変身スタイルを反復し、強く印象付けている。一方で父親の手によって深海開発用の改造人間となったX=神敬介の背景を凝縮した「父の叫びは 波の音」というフレーズも鮮烈で、水木の歌声の持つ圧倒的な力もあいまって、改造人間としての仮面ライダーの悲哀を見事に表現した。
『X』以降も、水木は『仮面ライダーストロンガー』『仮面ライダー(スカイライダー)』(79年)でも主題歌を担当。エンディングも数多く歌唱するなど、昭和期の「仮面ライダー」シリーズを代表する歌手となった。水木は惜しくも2022年12月に亡くなったが、仮面ライダーの名とともにその歌声はこれからも人々の記憶に残り続けるはずだ。
ほかにも、「レッツゴー!!ライダーキック」を歌った藤浩一=子門真人は、『仮面ライダー』におけるエンディングや挿入歌も担当し、『仮面ライダーアマゾン』(74年)でも主題歌「アマゾンライダーここにあり」を歌唱した。