番組中、お母さんに届けた「ありがとう」
彼を見るといつも思い出すシーンがある。それは2018年夏の出来事、僕はその日NHKのお昼の生放送に出演していた。西川きよし師匠がMCの「ごごナマ」という番組だ。
なんとその日のゲストは僕と渡邊元美さん。渡邊佳明選手の母親だ(なんちゅう番組や!)。お母さんは横浜高校野球部の寮母として長年球児達を支え、その年の6月に「甲子園、連れていきます!」という書籍を出版、夏の甲子園直前という事もあってのキャスティングだったのだろう。にしても攻めすぎのキャスティングである(笑)。
VTR中に西川きよし師匠から言われた「きみ、僕に似てる言われへんかー? ものまねしたらどやぁー。やりー、絶対やりー、やりやぁー!」が強烈過ぎて、ほかの記憶はうっすらとしかないのだが、はっきりと思い出すシーンが一つだけある。
番組終盤、当時明治大学4年生だった佳明くんから、FAXが届いたのだ。
「お母さんへ、ここまで育ててくれてありがとう。これまで沢山迷惑かけたけど、夢であるプロ野球選手になれるよう、これからも応援よろしくお願いします」
ふと、隣をみると、お母さんが笑顔を作りながら涙を流していた。とても暖かい気持ちになった。そして2ヶ月後のプロ野球ドラフト会議で、見事に夢を掴み、さらには東北楽天ゴールデンイーグルスに入団してくれた。
あの日、あなたが届けたありがとうはしっかりとお母さんに届いていたよ。
あれから数年が経ち、あなたにありがとうを届けたい僕のようなファンはたくさんいるはずだ。
「渡邊佳明選手ありがとう!」
この言葉をたくさん届けられるシーズンにしたい。
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