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隙あらば会ってヤりたいという思いが見え見え

 あらためて無視を決め込んでもXからの連絡は途絶えなかった。2020年8月、A子さんはスマホのデータを整理する際、うっかりXに短いボイスメッセージを送ってしまったという。このA子さんのミスに対してXは素早く反応。たちまち頻繁なメッセージ攻勢が始まった。

 コロナ禍のまっただ中に「飲み行く?」と誘ってきたかと思えば、「温泉行く?」「浴衣が見たい」などとメッセージの内容は次第にエスカレートしていく。それにしてもなぜA子さんはXの異常な態度をはっきり拒絶しなかったのか。

「恐怖がありました。教師という立場を利用すれば、住所なんかも簡単に調べられてしまうんじゃないかとか、完全に連絡を絶ったりして逆上されたら……と考えると怖くて怖くて。危ない思いをしないよう、最低限は先生とやりとりを続けたほうが安全かもしれないと考えていました」

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Xとのメッセージのやりとり

 自分の行いがA子さんに恐怖を与えていることを考えもせず、Xからはしつこく接触が続いた。2021年5月や8月にも「遊ぼー」と連絡をしてきた。2022年3月末には、就職して宮城県を出たことをA子さんが伝えると、「遊びに行く」「泊めて」と言って寄越してきた。新生活で忙しくなったA子さんは返信を怠るようになり、2022年8月を最後にXからの連絡は途絶えた。

「最近のネット上の騒動で、他にもXの被害者がいることを知って驚きました。ずっと私一人が被害にあっていたと思っていたので。5年間にもわたり連絡をしてきたしつこさは、一時の酔った勢いでの失敗とはいえないし、隙あらば会ってヤりたいという思いがずっと見え見えでした。こんな人間が教育者として働いているのはどうかなと思います」(A子さん)

親身なやりとりを続けるうち、飲みに誘われるように

 一方、冒頭で紹介した「セックスしません?」というストレートなメッセージがインスタグラムに来たのは、宮城県在住の女子大生B子さんだ。

「Xは高校3年間、ずっと私の担任でした。在学中、特に親しかったわけでもないですし、私にとっては普通の担任の先生という感じでした。Xを名乗るアカウントからインスタに連絡がきたのは浪人中の夏が過ぎた頃です。初めのうちは『最近勉強の調子はどう?』『勉強で不安なところある?』と当たり障りのない話をしていました。相手は一応元担任教師ですから、受験のプレッシャーや身内の話など個人的な話をしたら『それは大変だね』と聞き役になってくれました」

2人だけで飲み会に誘うやりとり

 親身なやりとりを続けるうち、Xは未成年の浪人生だったB子さんに「一緒に飲みに行くぞ」と常識外れの誘いをかけたこともあった。